連載「ジタンコウフカのススメ」
「忙しくて時間がない」「ジムトレもそろそろダレてきた」という男性諸君、ちょっぴりキツいけどサクッと終わるトレーニングはいかがだろう。キーワードは「ジタンコウフカ(時短高負荷)」。

呪文のようだが、そこには科学の力を借りて効率よく体を変えるヒミツが隠れている。サッカーやラグビーの日本代表選手も通いつめる高地トレーニング施設のトレーナーに、理論と実践法を教わっていこう。
>>連載を最初から読む

短い時間で効率よくトレーニングできる注目のメソッド「高地(低酸素)トレーニング」。それを街中でできてしまうトレーニングスタジオ「ハイアルチ」のプロデューサー兼フィジカルコーチの新田幸一さんに、時短高負荷なトレーニングをレクチャーしてもらう。

今回のテーマはジムトレでお馴染み、ランニングマシンの賢い使い方について。

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法...の画像はこちら >>


高地トレーニングを街中で体験できるスタジオ「ハイアルチ」の開発者であり、プロデューサー。長年のトップアスリートたちへの指導経験を活かし、高地トレーニングの効果を最大限に引き上げるメニューを構築。現在は、浦和レッズの槙野智章選手をはじめとしたトップアスリートのほか、大学駅伝の選手たちのトレーナーも務めている。

 

  

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは


目的に合わせて、心拍数をコントロールせよ!

今回は、ジムでランニングマシンをよく使っている、という人に向けたトレーニング法を紹介する。目的に合わせて正しく使えていなければ、せっかくの努力も水の泡となりかねない。

ランニングマシンを使う最大のメリットは、心拍数をコントロールしやすいので、自分の目的に合ったトレーニングができる、という点です。そのため、屋外でのランニングやウォーキングをするよりも、効率よくトレーニングが行えます。

例えば、ちょっと高めの心拍数をキープして走れば心肺機能の向上を狙うことができますし、逆にちょっと心拍数を低めにキープして走れば、体脂肪の燃焼効率を上げられる

常に狙った心拍数を把握しながらトレーニングすることで無駄が出ないから時短効果も抜群です」(新田さん)。

以前も解説したが、階段ダッシュでハアハアしない心肺機能を手に入れるには最大心拍数の80%、40代男性の平均でいうと、およそ150~160拍/分以上の心拍数を維持することが必要だ。一方、体脂肪燃焼を最優先とするなら、最大心拍数の50~60%、心拍数は120~130拍/分を目安に維持すると良い。

●心肺機能アップゾーン[150~160拍/分]

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは

●体脂肪燃焼ゾーン[120~130拍/分]

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは


「自走式」だと心拍数がコントロールしやすい

ランニングマシンを使用する場合は、常に心拍数チェックすることが大切。目的に合わせた設定値にキープできていないと、期待するトレーニング効果を得られなくなってしまう。

そこでおすすめなのが、心拍数をコントロールしやすい「自走式」のランニングマシン。自分の脚力だけでなく、全身を使ってベルトを動かす仕組みなので、心拍数の数値に合わせてスピードを上げ下げしやすい上に、全身運動ができるという利点がある。

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは

とはいえ、ジムによっては設定スピードに合わせて自動的にベルトが動くタイプのランニングマシンしかない場合もある。そんなときは多少面倒ではあるが、心拍数が上がりすぎたらスピードを落とすなど、速度の微調整をしていこう。

「運動歴が短い、あるいは今まで有酸素トレーニングをしたことがない人は、最初に心拍数が一気に上がってしまうことに注意してください。そうなると、心肺への負荷が大き過ぎて危険です。そんな人は、はじめはウォーキングでも十分

しばらくは心拍数のゾーンを意識しすぎず、120~130拍/分をキープできる体づくりを目指しましょう。歩くスピードは時速8km程度が目安ですが、それで心拍数が設定値を超える場合はスピードダウンしてもOKです。とにかく心拍数を基準に」(新田さん)。

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは

もちろん、ランニングマシンで走るとき以外でも心拍数を意識する習慣づけが大切だ。

「スポーツウォッチやスマホ、ウェアラブル端末等で逐一心拍数をチェックしながら歩く、または走るといいです。機種によっては、事前に心拍数を設定し、設定値を超えるとアラートが知らせてくれる便利なものもあります」(新田さん)。

最後にもうひとつ、ランニングマシンを使ううえで新田さんが重視するのがフォームだ。正しく着地して、正しく蹴り出さないと、ケガをしやすくなるという。

「時短高負荷なトレーニングは体への負担が大きいのも事実。きちんとしたフォームで歩き、走らないとケガをします。まず、つま先は常に真正面を向いている状態を維持すること。外や内に向くと、脚を痛めます。

そして、左右の肩から膝、足にかけて、それぞれ1本の軸が通っていることをイメージしてください。いわゆる2軸フォームです。道路の白線をまたいで、両端をギリギリ踏まないように着地していく、と言うとイメージしやすいかもしれません」(新田さん)。

ランニングマシンは使い方次第で効果に差。時短でも“効く”方法とは

目的に合わせた心拍数とケガしにくいフォームを意識して、ランニングマシンを使った時短高負荷トレーニングを実践してみよう。

【取材協力】
ハイアルチ 吉祥寺スタジオ
住所:東京都武蔵野市吉祥寺東町1-17-18
電話番号:0422-22-7885
営業:10:00~22:00(平日)、10:00~19:00(土・日・祝)
http://high-alti.jp/

空間をまるごと低酸素状態にしたスタジオで行う「ハイアルチテュード(高地)トレーニング」を、気軽かつ、リーズナブルに体験できる日本初のハイアルチテュード専門スタジオ。専門トレーナー指導のもとでのトレーニングなので、安全に効率よく鍛えられる。都内では、吉祥寺のほかに、三軒茶屋、代々木上原にスタジオを構える。

【Other Training Menu】
低酸素スクワット/低酸素プッシュアップ/低酸素シットアップ/バーピー/スプリットランジ/スケーティングジャンプ/歩き方

楠田圭子=取材・文 渡邊明音=写真

編集部おすすめ