連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。

でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

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500mLの水をわずか100秒で沸騰させるという、驚異的な実力を誇るアウトドアギア「ジェットボイル」。その秘密に迫った前編に続き、後編ではラインナップの数々にフォーカスするため、日本での取り扱い代理店を務めるモンベル東京オフィスへ。広報部の設楽さんと市橋さんにお話を伺った。

 


驚異の沸騰スピードを実現する最速沸騰モデル

【大定番】JETBOIL®フラッシュ

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現行品の主力モデルがこちら。右の写真で2人の創業者が手にしているのは「PCS」の初期型モデル。

「まず、ひとつ名前を挙げるなら、『フラッシュ』がうちの主力。創業当初に作られていた『PCS』というモデルの後継機です。高い火力と高いエネルギー効率を両立しているので、その名の通り、あっという間にお湯が沸きます」。

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付属のゴトクを使えば、一般的なバーナーと同じように使うこともできる。 【写真出典:ジェットボイル クイックレシピ55】

ラインナップ中もっともバーナーの出力値が高いモデルなので、ジェットボトル製品のなかでも最速でお湯が沸かせる。容量1Lのボディは約440gと軽量。カップ内にすべてのパーツが収まる収納性も魅力な、不動の一番人気モデルだ。


日本からの要望が生み出した小さめサイズ

続いてご紹介する「マイクロモ」は、ひと回り小さめサイズのモデル。容量はひとりならば必要十二分な0.8Lで、重量は約400gとより軽量・コンパクトに設計されている。

じつは、輸入を始めた当初、モンベル社内のハードユーザーは1Lサイズでは大き過ぎると製品を自らカットして愛用していたそう。それを耳にしたメーカーが「ならば」と正式に作ったのがこのモデルなのだ。

結果、ひとりキャンプや登山用として重宝され、現在に至るまで売れ続けている主力モデルにまで成長した。日本生まれのヒット作なのである。

【進化型】JETBOIL®マイクロモ

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手軽なサイズ感だが、基本構造は定番型を継承しており、使い勝手の良さは不変だ。

「一般的なバーナーは、冬場や高所など、低温環境で安定した火力を発揮しづらいという弱点があります。その問題を解決するために、マイクロモには低温時でも火力を安定させる『サーモレギュレーター』という機能が搭載されています」。

見た目には小さな違いだが、寒い日の屋外でバーナーを扱ったことがある人ならば、このありがたみが実感できるだろう。

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銀色のパーツがサーモレギュレーター。氷点下(−6℃まで対応)でも、安定した火力を発揮してくれる。


調理に積極的に使えるモデルも登場

【進化型】JETBOIL®ミニモ

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フラッシュと比べると口の径が2cm強違う。数字で見ると小さな差だが、使ってみると大きな違いが感じられる。

「従来の縦長フォルムは、収納性に優れている反面、調理のしづらさがネックでした。そこで、口を広くし、高さを低く設計することで調理をしやすくしたカップを持つ『ミニモ』が登場しました。調理時に支えやすいよう、他モデルに比べてしっかりとしたハンドルを装備していることも特徴です」。

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左がハイパワー、右がとろ火の状態。

「サーモレギュレーター」を搭載しているうえ、繊細な火加減調整ができるのも魅力(前出のマイクロモも可能)。急速にお湯を沸かしたいときはハイパワーで、煮込み料理などではとろ火で、と幅広い調理方法に対応することができる。

風のある屋外では、とろ火が有効に使えるバーナーは少ない。風に強いジェットボイルの構造があってこそ、実現した機能といえよう。


オプションがあれば、さらに使用用途が広がる

ジェットボイルには各種オプションも充実しており、組み合わせ次第で使用用途を拡張することができる。

例えば、1.5Lサイズの広口の大鍋を追加すれば、複数人で鍋を囲むのに便利だ。雪山で雪を溶かして飲み水を作る、なんてハードなシチュエーションでも重宝されている。

【オプション】1.5L クッキングポット

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各ジェットボイルに付属のゴトクを組み合わせて使う。重量は350g。

縦長の筒状のカップ形状を生かした、コーヒープレスも人気のオプション。開発に力を入ているギアのひとつで、この春からより繊細な仕様へとバージョンアップされるそうだ。創業者のひとりであるペリー氏は、毎朝目覚めてすぐにジェットボイルを使ってコーヒーを淹れることが日課だそう。

【注目オプション】コーヒープレス

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慌ただしい朝でも、素早く抽出できるプレス式を採用。

ちなみに、創業当初に作られた初期型モデルは、「PCS(パーソナルクッキンシステムの略)」と名付けられていた。お湯を素早く沸かすことはもちろんだが、「ひとり分の料理を素早く作るための道具を作りたい」という創業者たちの想いがよく伝わる名前である。

つまり、湯沸かしだけでなく、自宅でコーヒーを淹れたり、料理に使ったりしてこそ、ジェットボイルの実力を味わい尽くすことができるのではないだろうか。ちなみに、料理での詳しい使い方は『ジェットボイル クイックレシピ55(mont-bell BOOKS)』なるレシピ本が発売されている。大いに参考にして、日常からこの名機を使い込んでいただきたい。

※ジェットボイルを使用する際には、必ず専用のガス燃料「ジェットパワー」をご使用ください。

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[問い合わせ]
モンベル・カスタマー・サービス
フリーコール:0088-22-0031
電話:06-6536-5740
www.jetboil.jp

連載「Camp Gear Note」
INDEX:イエティ、オガワ、オピネル、カリマー、コールマン、ザ・ノース・フェイス、ジェットボイル、スノーピーク、ヘリノックス、マーモット、ムラコ、モンベル、ロッキーマウンテンフェザーヘッド、ロックス、ロッジ

池田 圭=取材・文 宇佐美博之=写真

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