春のなんでも3選’S●この春の やりたい! 知りたい! 手に入れたい! アレコレをジャンルレスでピック。それぞれの“3選’S”を披露する。
「家電芸人」という言葉が出てきて以来、家電好きを公言する人は爆発的に増えた。
ここでもさっそく紹介したいのだが、今回は、日常に招き入れるだけで生活がちょっとだけ豊かになる家電に絞って考えてみよう。
ゲストにお招きしたのは人気お笑いコンビ、ペナルティのヒデさん。『アメトーーク!』(テレビ朝日)で、「家電芸人くくり」の言い出しっぺとなった元祖・家電芸人だ。そんなレジェンドに、この春取り入れたい家電の名脇役トップ3を聞いた!
今日のゲストはこの人!
①例えるなら「岡村隆史」な、“洒落る”トースター
──家電にもいろいろあるかと思いますが、今回教えてほしいのは、決して必需品ではないけれど、あったらうれしい、そんなアイテムです。
ヒデ わかります。僕も駆け出し時代、それこそ居酒屋で住み込みのバイトをしていたときからギラギラした目で家電を見てましたから。「いいとこ突いてくるな~」というアイテムは多々あります。ポイントは、ビジュアルとギャップ。例えばこれとか。

──おおっ?
ヒデ こんなトースターがあったら、気分がアガるじゃないですか。自分で使ってもいいし、プレゼントにも最適です。これをピックアップしたやつがいたら認めますよ、家電芸人として。
──確かにお洒落ですよね。どこかヨーロッパ的というか。
ヒデ こいつが一台あるだけで部屋の雰囲気が洒落ます。やがて周辺アイテムもこのテイストに足並みを揃えたものになっていき、結果、お洒落な生活が始まるわけです。市販の味付け塩コショウを使っていたやつが、急にミルを使い出したりする感じですよ。

──わかる気がします(笑)
ヒデ それこそ毎日使うものですから、このちょっと可愛くて、アガる感じのデザインがいろいろと役に立つ。例えば、狙っている女性がいたら「美味しいフレンチトーストでも食べに行かない? 俺んちに」とか。それで「可愛い!」となったらしめたもの。
──なんという家電テク……。
ヒデ 結果は保証しませんけど(笑)。かなり実用的であることは事実です。
──ギャップってやつですね!
ヒデ 火力があって、長めに焼くメニューも問題なし。ピザや焼きおにぎりだって自由自在。こんな小さいのに存在感があるって、もう岡村隆史ぐらいしか僕は知りません(笑)。
──なるほど~(笑)。ヒデさんも使ってるんですか?
ヒデ まあ、僕はがっつり米派なんですけどね。
──ええー!
②3シーズンどこでも稼働。全方位対応ミニヒーター
──ふたつ目は何でしょう?
ヒデ ヒーターです。ちょっと時季外れと思っていませんか? これは小ぶりで使い勝手が良く、ちょっと肌寒さを感じたらすぐ使えるので、夏以外はOK。これだけ小さいので、会社のデスクでも使えますし、自宅の脱衣所に置いてもいいですね。

──冬場はヒートショックとかも怖いですしね。
ヒデ 女性だったら風呂上がりに髪を乾かす時間も長いでしょうから。ちょっと足元ぬくぬくしておいたほうがいろいろと心配は少ないですよね。あとはトイレもいいですよ。
──とっ、トイレですか?
ヒデ モノを考えるとき、僕、結構トイレにこもっちゃうんですよ。自宅には、自分専用を含めて計3つのトイレを作りましたから。資料なども置けるようにしてあります。下手したらそこで暮らせますからね。このヒーターはその“部屋”にもちょうどいいんですよ。
──えーと、ちょっと真似はしにくい……(笑)

ヒデ あとは、男性と女性とでは、体感温度がまったく違います。男は適温でも、女性からすれば寒いというシーンは少なくないですよね。カラバリも豊富ですから、妻、子供それぞれのキャラに合った色で買い揃えるのもいいかもしれません。
──これだけ小さいと機能面が不安ですね。
ヒデ 実はこれ、かなり優秀です。なにせ人感センサー付きで、一定時間その場所を離れると自動的に消えますから。
──おー!
ヒデ しかも、すぐに温かくなる。深夜にサッカーを見る機会も多いので、エアコンをつけるまでもないときに重宝しますよ。電気代も浮きますし。

──リビングで使うのもアリですか?
ヒデ アリだと思います。それこそ、一人暮らしにはいいかもしれない。付き合いたての彼女を部屋に呼んだとき、部屋全体が暖かったらお互いの距離が開いちゃうでしょ? だから、これで「一緒に温まろう」って近付けるチャンスも作れる。あれ、読者層って何歳ぐらいでしたっけ?
──ずばりアラフォーです。
ヒデ オッサンかい!
──まあ、でも、クールになった夫婦関係を温め直すのにもいいでしょうし。
ヒデ 確かに。
③一家に一台。一度に二度美味しいホットプレート
──で、トリを飾るのが……?
ヒデ こちらのホットプレート。「感動した!」とは小泉元総理の名文句ですけど、僕はこっちの“小泉”さんに感動しましたよ。一家に一台あると楽しいし、一度に二度美味しいんですよ。

──ちょっとややこしいのですが、セパレートできるんですね?
ヒデ そうです。しかも、それぞれで温度も変えられるのがいい。例えばミートソースを片方で作って、クリームソースをもう片方で作ってもいい。子供はしょうゆ味のお鍋、大人は辛い鍋なんて使い方もできます。もう白と赤で食のクラシコの始まりです。
──確かに!

ヒデ チーズフォンデュでもいいでしょうし。おでんもいいんじゃないですか。そんなときは、ちょっとミニコントを仕掛けたいところ。暖簾をくぐるふりをして、「女将、やってる?」って入ってきたら、奥さんが「あら、ヒデさん今日は早いのね」なんて言ってね。

──楽しそう! ヒデさんもよくご自宅でホットプレート系の料理はされるんですか?
ヒデ やります、やります。妻が楽できますし、子供たちも喜びますからね。
──みんなで楽しめるのがいいですね。
ヒデ そこがやはり、いちばん大きいでしょう。このホットプレートで作れるのは料理じゃないんです。団欒という家族との温かい時間なんです。
──うまい!
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決して必須ではない。だけどあったらちょっと便利。その些細な喜びの積み重ねが、日常の豊かさを生むと実感。うん、家電はやはり奥が深い。
鈴木寿教=写真 菊地 亮=取材・文