コスパ良しな「コレ買っ時計」とは?
スウォッチ。30代、40代にとって、その響きは懐かしくも感じるだろう。
PRオフィス・ムロフィスの名物ディレクター、中室太輔さんも心を “鷲掴まれた”ひとり。
ムロフィス代表兼ディレクター 中室太輔さん多くのブランドのPRを務める中室さん。1981年生まれ。あくまでシンプルな中に遊び心を忘れないスタイリングは、数々のメディアで取り上げられ、「スウォッチは大人こそ楽しむべき」という持論を提唱する。
そして大人になってからもスウォッチの魔性に魅せられ、今では業界きってのスウォッチコレクターであり、日々愛用している。
まずは中室さんがスウォッチを好きになったきっかけと、今も愛用するワケを語ってもらった。
小学1年で出くわした「ジェリーフィッシュ」の衝撃
「目覚めたきっかけは、姉への嫉妬ですね。僕が小学1年のとき6つ上の姉が父の海外土産でスウォッチをもらったんです。僕のお土産は、よくわからない海外のおもちゃで(笑)。
姉はスウォッチのジェリーフィッシュ、そして僕はクオリティの低いおもちゃ。姉の時計が輝いて見えました。とにかく、ジェリーフィッシュの衝撃といったらなかったですよ。

キラキラした透明の時計なんて見たことなかったし、中身も透けててメカっぽい。僕はのちにミニ四駆にもハマりますが、それもメカメカしいジェリーフィッシュの影響だと思います。まあとにかく、以降のお土産はスウォッチにしてくださいと父に頼みました(笑)」。
当時、オーディオ機器メーカーの国際部で働く中室さんの父親は海外出張が多く、中室少年は翌年のお土産で念願のスウォッチを手に入れる。以降、ますますスウォッチに夢中に。
その半年後には父親の海外赴任先であるベルギー・アントワープに住むことが決まり、いっそうスウォッチ熱を高めていく。

「ベルギーに行ってみたら、どこにでもスウォッチがあるんですよ。見かけるたびにあれが欲しい、これが欲しい状態。誕生日などで買ってもらいましたね。当時は腕が細いから、スウォッチのシリコンベルトにキリで穴を空けてサイズを調整していました」。
アントワープの田舎で知った、スウォッチの隠れた魅力
ちょっとオマセな中室少年。なお、今でも当時から変わらず続けるちょっと特殊なスウォッチの“愛し方”を実践し始めたのもこの頃だった。

「音がいいんすよね。
今やスウォッチコレクターとして、ブランドからノベルティを贈呈されるまでに至った中室さんだが、実は一度スウォッチから離れている。帰国後に日本で巻き起こっていたスウォッチブームを目の当たりにし、逆に冷めてしまったようだ。
「中学生のときに日本ですごい流行って。僕からすれば『今頃?』みたいな。ちょっとひねくれてたんで(笑)。当時はGショックが好きでした。
大人の男にこそ、スウォッチが似合う理由
19歳でベイクルーズに入社。スーツや革靴を身に着けるようになった中室青年は、大人になるにつれて再びスウォッチに惹かれていった。

「大人になってから、スーツスタイルに合わせてみると、なんだかしっくりくるんですよね。シャツの袖口を邪魔しないコンパクトなサイズ感もそうだし、キャッチーなデザインが遊びに見えるというか。それに気付いてから実家に置いてあったスウォッチを持ってきたりして、今では……何本くらいあるんだろう?」。
この日見せてもらっただけでも約20本。今でも店頭やネットで気に入ったモデルを探し続け、その数は増える一方だ。
そんな中室さんにとって、スウォッチの中でも選ぶポイントはあるのだろうか?

「あくまでシンプルで、大人が着けていて“かわいい”ものですかね。それが、今も昔も変わらない、いちばんの“スウォッチらしさ”だと思うんです。でも、そこに気付いたのはやっぱり、大人になったからだと思います。自分の視野が広がったとかじゃなくて、単純に年齢を重ねてからスウォッチに向き合ってみると、意外とハマるしかわいいじゃん、という感覚です」。
タイドアップにスウォッチ。ジャケパンにスウォッチ。ポップな腕元でハズしてみたり、ソックスと色を合わせて遊んでみたり。
今だからこそできる、スウォッチとの付き合い方は確かにあるようだ。
次回は、そんな中室さんの愛すべきスウォッチコレクションにズームイン。 ご期待を!
コスパ良しな「コレ買っ時計」とは?
複雑機構ならいいワケじゃない。有名ブランドならいいワケでもない。カジュアルに付き合えて大きなリターンがあるのが理想。見た目もコスパもいい「コレ買っ時計」を、さまざまな切り口で選抜。
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増山直樹=文