看板娘という名の愉悦 Vol.11
好きな酒を置いている。食事がことごとく美味しい。
今回向かったのは恵比寿のJDバー。女子大生ではなく、アメリカのウイスキー「ジャックダニエル」のほうだ。

さて、看板娘のご登場だ。

「清い夏」と書いてさやかと読む。いい名前ではないか。そして、さやかさん、手にダーツの矢を持っている。そう、ここはダーツバーなのだ。
何はともあれ一杯いただきましょう。
「ジャック『ハニー』のハイボールを飲んでみますか? 天然のはちみつが入っていて甘いんですよ」



ひと口飲んでみると……おお、これは美味しい。はちみつの上品な甘みが炭酸とともに広がる。
「美味しいですよね。ジンジャーエールや牛乳で割る方もいますよ」
ちなみに、この店は日本で最初のジャックダニエルオフィシャルブランディングバー。店長の山野さんは言う。

「すでに製造されていないボトルもたくさんありますよ。残念ながら貴重すぎてお出しできないものもありますが」

キープボトルの収納棚は4個もあり、約240本を保管しているというからすごい。

ジャックダニエル側がB’zの松本さんに提供したことがあり、名だたるギターリストの方々が希望してもなかなかもらえないというギターもあった。


ダーツバーとはいえ、ただお酒を飲みにくるだけのお客さんも多いため、山野さんいわく「うちはダーツ&バー」とのこと。
胸元のボールペンがセクシーな清夏さんに話を戻そう。

「以前はカラオケバーで働いていて、次はダーツバーがいいなと思って探したんです。
ちなみに、趣味はアニメ鑑賞。家族全員がオタクなのだそうだ。

スマホの待ち受け画面とストラップは『艦隊これくしょん』のお気に入りキャラだった。

「『リゼロ』も好きですね」。リゼロ? 「あっ、『Re:ゼロから始める異世界生活』のことです」。

最初は常連さん同士のつながりが強すぎて、入っていけるのかと心配したが、同じ八王子出身のお客さんにかわいがってもらううちにすっかり溶け込んだという。
「そういえば、入ったばかりの頃、発注時の書類の『御中』が書けなくてバカがバレました。お客さんも面白がって『犬も歩けば?』ってことわざクイズを出してきます」。
ちなみに、清夏さんは「猫も歩く」と答えたそうだ。間違いではない。

結果は……。

「1年間働いていて、一向に上達しないんです。でも、『初心者の方のお相手にピッタリですよ』とアピールしています」。
最後に、読者への直筆メッセージをお願いします。

スマホで検索して無事「乾杯」も書けたところでお会計。今回も楽しいひと時でした。


【取材協力】
コーサノストラ
www.cosanostra.co.jp/twenty_eight.html
取材・文=石原たきび