「2シーターという贅沢」とは?
ルーフトップを開くだけでドライブを最高潮に盛り上げてくれるオープンカー。それだけで贅沢なのに、それが2シーターならそれはもう贅の極み。
そしてひと口にオープンカーといってもさまざまなタイプが存在する。
また気ままにドライブができる日が来たら、ルーフ全開で走らせたいオープン2シーターを紹介しよう。
ビッグネームを引き継ぐ2世
ジャガー Fタイプ コンバーチブル
往年のビッグネームが世紀をまたいで復活。往年のEタイプから“Fタイプ”に進化した2シータースポーツカーのオープン版がFタイプ コンバーチブルだ。
最近内外装の意匠が刷新されたばかりで、フロントデザインが変わり、ヘッドライトは縦型から横長のデザインとなった。キャンバス製電動トップは走行中(50km/h以下)でも12秒でオープン・ザ・スカイ! 超大音量のエンジンサウンドも相まって、開放感と刺激は最高だ。
見た目は、美しいフォルムに定評があったEタイプの復活後継として相応しい流麗なスタイルを実現している。

インテリアの設えは上品で、往年のオープンカーのようなギラつき感はなし。クローズドにしても十分に格好良い。
帽子感覚で楽しむルーフ3変化
スマート ブラバス カブリオエクスクルーシブ
スマートの2シータースマートカブリオに、ドイツの有名なカーチューナーであるブラバスのチューンが施された小気味良く走るスモールカー。

スマート公式サイト上では今まさに最終モデルのプレオーダーを受付け中で、購入のチャンスは残りわずかだ! 軽快な走りに、RRレイアウトの溌剌とした駆動。これで青空が拝めるって言うのだから、遊び心の積載量は十分だろう。
特筆すべきは、「頭上のみ開くタルガトップ」「開閉調整できるルーフ」「完全オープンのカブリオレ」という3変化が最大の特徴だ。

全長2.7m×横幅1.6mという極小サイズで取り回し良好! 助手席との密接な距離感も良し!
新たに電気自動車ブランドへと生まれ変わるスマート。
SLのフィナーレに“脱帽”
メルセデス・ベンツ SL
昔から、オープンカー好きが辿り着く終着点とも言われてきたキング・オブ・オープンカーことSLだ。

次期SLではソフトトップとなり2+2シーター化というウワサ。ということでこちらは2シーター最後のSLになりそう。
オープンで高速を走っても快適、クローズドで山道のコーナーに駆ってもラクに楽しめる。つまり、すべてにおいて運転が楽チンというのがSLがキングたる由縁だ。
ルーフは遮音性に優れたリトラクタブル・ハード・トップの採用で、クローズドでも美しいクーペシルエットを見せつける。

座席にはヒーター+冷風、さらに首筋に温風を送る機能も。オープンで時速100km/hで走っても風の巻き込みはほぼなく、まさにメルセデスが誇る技術のオンパレード。
そんな我慢無用の贅沢さに、乗れば誰でも“脱帽”したくなるのだ。
オープンカー界でコーナリングの星
ポルシェ 718ボクスター
ボクスターの車名の由来は、水平対向エンジンの“ボクサー”と高速運転者を意味する“スピードスター”をあわせた造語。

導入当初は水平対向4気筒ターボのみの展開だったが、上位モデルに6気筒エンジンが復活。0→100km/h加速は4.7秒に達する一方、幌の開閉はスイッチひとつの全自動式でフルオープンまでわずか9秒とすこぶる早い!
ちょっとした信号待ちでも、突然の雨に降られてもすぐに屋根を開け閉めでき、50km/h以下なら走行中の開閉も無問題。

そしてこの718ボクスターは、「コーナリングマシン」と謳われており、スムーズで踊るような走りはまるで、フィギュアスケートの羽生選手の滑りのように優雅。2シーターオープン×スポーツカーのなかでは間違いなく最高の技術点を叩き出すだろう。
上屋を開けても閉めても、街中を流すドライブからサーキットまで、ポルシェの真髄が思う存分味わえる2シーターオープンカーなのだ。
激しさと静けさを持つスパイダー
アウディ R8スパイダー
今や稀少種となったV10自然吸気を積むアウディのスーパースポーツ、R8スパイダー。

近ごろ新型モデルが発表されたばかりで、心臓部には最高出力620psのV10を搭載。ルーフの開閉はスイッチひとつ。クローズド~︎︎オープンの華麗な変身は約20秒で、こちらも50km/h以下であれば走行中も作動可能だ。
そして何がすごいって遮音性に優れたクロス製ソフトトップは、クローズドでは上級サルーンと遜色なしの静粛な空間を保っているからお見事! V10のモンスターエンジンを後ろに背負っているにも関わらずだ。

ルーフを閉めれば終始ジェントル、しかし解放すればシビれるV10バイブスと野太い重低音が身体に響き渡る。
V10エンジンと2シーター・オープン・スーパーカーの組み合わせはもはや稀少種。乗れるうちに乗っておきたいと、素直にそう思うのである。
いずれのオープンカーも、2人乗りという潔さがあるからこそ個性が際立った車ばかり。こいつらで風を感じて走る爽快感は、ほかの何にも代えられない贅沢だろう。
「2シーターという贅沢」とは?道具や手段としての側面が重視される今、究極に贅沢な車って何かと考えると、答えは「2シーター」じゃないか? 2人しか乗れない。
カストロトシキ=文