「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
「夢にときめけ、明日にきらめけ、目指せ甲子園」――ドラマも大ヒットした人気漫画『ルーキーズ』の主人公、川藤幸一の名言である。不良生徒たちに夢を持つことの大切さを説き、ともに甲子園を目指した熱血教師の物語だ。
ドラマで川藤役を演じた佐藤隆太さんは、プライベートでも熱くて真っ直ぐな男として知られる。無類のスニーカー好きとしても有名で、そのセレクト基準は「自分がトキメクかどうか」。
そんな熱血漢に今回セレクトしてもらったのは、部屋で見ているだけでもトキメク珠玉の3足。“偏愛スニーカー”三番勝負、いざ!
①アシックスタイガー×スニーカーウルフ「ゲルカヤノ トレーナー“アナーキー イン ザ エド ピリオド”」

最新テクノロジーを搭載しながらアップデートを繰り返している、アシックスの名パフォーマンスシューズ「ゲルカヤノ」。なかでも’93年に登場した初代「ゲルカヤノ トレーナー」は、今なお根強い人気を誇る。
確かにその機能性は世界に誇れるものだが、佐藤さんがトキめいたのは、江戸文字とストリートアートを融合させ、“カンジグラフィ”なる分野を確立させたアーティストがデザインしたコチラの一足。

「大好きなアーティスト、スニーカーウルフさんがアシックスとコラボレーションした一足。飛び付かずにはいられません」。
このモデルのテーマは“江戸時代のパンク”。もし質素な生活が良しとされていた江戸時代に、パンクの精神があったら……というストーリーが背景に潜んでいる。そして、“火事と喧嘩は江戸の華”との言葉からインスパイアされ、炎のグラフィックを施した。
「スニーカーをキャンバスに見立て、そこへアーティストの方が作品を落とし込んでいく。その過程を想像するとワクワクしますよね。
②ナイキ「ダンク ロー プロ SB」

「エア マックス 95」で絶大な人気を誇ったカラー、通称“イエローグラデ”、「エア ジョーダン」の定番カラーで知られるブラック×レッド、通称“ブレッド”……などなど、伝説的モデルの象徴的なカラーには“とおり名”を付けられることが多い。それはキッズたちの憧れを示すバロメーターでもあった。
佐藤さんが選んだのは、通称“つま赤”。落ち着いた配色の「ダンク SB」をベースに、トウへ刺激的な赤を挿し込んだコチラの一足だ。
「僕はダンクのSBラインが大好きなのですが、そのなかでもこの“つま赤”は特に気に入っている一足です。この頃の、初期のSBはまだ国内での取り扱いがなかったので、手にしたときの感動も大きかったですね」。
手に入れてからおおよそ17年間、佐藤さんの足元を常に支え続けてきた良き相棒である。
「全体的には落ち着いたカラートーンで構成されています。だからこそ、赤がとても映えますよね。ガムソールもまたお気に入りのポイントです」。
③ナイキ「エア フォース 2 ザ ダーティー」

青春時代は“ジョーダン狂想曲”のさなかにあった。そんなオーシャンズ世代も多かろう。
「当時、落ち着いたシンプルな色使いのスニーカーが多かったなか、このカラーリングは衝撃的で、とても興奮したのを覚えています。世間的に『エア フォース2』は、『エア フォース 1』ほどのヒット作にならなかった印象ですが、プラパーツの落とし込み方など、遊び心のある味わい深い一足だと僕は思っています」。

「エア フォース 1」は’82年に登場。女性からの支持も高く、2000年に入ると多くの名コラボが登場し、その地位を不動のものとした。そんな“アイコン”的なスニーカーと比べれば、’86年に登場した「エア フォース 2」は、少々影が薄いと言えなくもない。
しかし、佐藤さんに与えた強烈な印象は今なお色褪せない。
「これは2002年と古いモデルなんですよ。それから大切にしまっていましたが、最近になって、遂に下ろしました」。
600のコレクションから選び出した3足の偏愛スニーカーは、いずれも持ち主のキャラクターを見事に体現したラインナップだった。スニーカーってのは、まさに“名刺代わり”なのだと再確認。
「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
上に戻る菊地 亮=取材・文