今年のジュネーブモーターショーは新型コロナウイルスの影響で中止となったが、代わりにフォルクスワーゲンは現地時間3月3日にオンラインによる発表会を行った。
このときのメインイベントは8代目「ゴルフ」(間もなく日本でも登場予定)のGTIのワールドプレミアだったのだが、そこで「ID.4」に関しても触れられている。
「ID.4」とはフォルクスワーゲン初となる電気自動車のSUVだ。
2017年の上海モーターショーで発表されたコンセプトカー「ID.CROZZ(アイディ.クロス)」の市販バージョンとなる。クーペスタイルだった「ID.CROZZ」に対し、オンライン発表会で公開された市販バージョンの写真を見ると、クーペではないものの、流麗なデザインのスタイリッシュなSUVに仕上がっているようだ。
「ID.4」は本国で「今年発売される予定」であるとし、満充電での航続可能距離は最大500kmと発表された。最初は後輪駆動の2WDから販売を開始し、のちに4WDも追加されるという。
また、ナビやエアコンといった操作系をタッチスクリーンや音声認識機能を用いることによって「新しい乗りもの感」が演出されるようだ。
もともと今年3月のジュネーブモーターショーにも発表されるのでは?と噂されていたのだから、間もなく現れるのは間違いない。

「ID.4」よりひと足早く、「ID.3」というハッチバックスタイルの電気自動車が、今年6月からヨーロッパで受注が始まった(納車は10月以降)。
昨年、ドイツ工場で同車の生産が開始された際の式典には、メルケル首相も出席するほどだから、同社の電気自動車への取り組みの本気度がうかがえる。

「ID.3」のサイズはほぼゴルフ(7代目)と同じで、ベースモデルの車両本体価格は約4万ユーロ(約500万円)。
「ID.4」は、この「ID.3」と同じ、電動車専用のプラットフォーム(MEBプラットフォーム)をベースに開発されている。つまり「ID.3」の、SUV版というわけだ。

ちなみに「ID」とは 同社の電動自動車に冠される言葉で、「intelligent design」や「identity」「visionary design」を示す言葉だとしている。
まずは「ID.3」、次いで「ID.4」と続いていく。「あれ、ID.1や2はもう発売されている?」と思うが、ID.は「歴史上、大きな章(major chapter)を開いたモデルを示す」言葉として、同社はID.1に「ビートル」、ID.2に「ゴルフ」を当てている。
つまり「ID.3」や「ID.4」は「ビートル」と「ゴルフ」に続いて、フォルクワーゲンと自動車業界にとって新たな時代の幕開けを告げる車だということだ。
この新たな幕開けを、早く日本でも味わいたいものだ。
籠島康弘=文