2001年にBMWが世に送り出した現在のMINI(ミニ)。
1959年にブリティッシュ・モーター・コーポレーションが生み出したクラシックMINIの世界観を現代に再現し、世界中に多くのファンを持ち、ひとつのカルチャーを築くほどになっている。
現代のMINIはベーシックなハッチバックスタイル以外にも、コンバーチブルやワゴン(MINI クラブマン)、SUV(MINI クロスオーバー)と、さまざまなカテゴリーでMINIならではの魅力を表現している。これもMINIのファンが増えている理由のひとつだ。
そんなMINIシリーズにPHEVがラインナップされたのは、2017年7月。同年2月にフルモデルチェンジしたMINI クロスオーバーに追加設定される形で登場した。
これにより、MINI クロスオーバーはディーゼルとPHEVという2種類のパワートレインで楽しめるようになった。

MINI初のPHEVとなった「MINI クーパーS E クロスオーバー オール4」。エンジンは、MINI クーパーなどに搭載される1.5L 直3ターボで、最高出力もMINI クーパーと同じ100kW(136ps)、最大トルク220N・mとなっている。
ここに最高出力65kW(88ps)、最大トルク165kWの電気モーターが加わることで、システム最高出力は165kW(224ps)に達する。

一石三鳥のSUV
そんなMINI版PHEVの面白いところは、エンジンが前輪を動かし、モーターが後輪を動かすという、完全な分業システムになっていること。
大容量バッテリーに貯めた電気により、モーターのみの力で最高速度125km/h、最大42.4km走ることができる。モーターは後輪に専念するので、EV走行時にはFR駆動の車として動いていることになる。
走行状況によりエンジンとモーターの配分を最適に制御して走行。

力強さと愛らしさを兼ね備えたMINI クロスオーバーのデザインは、都市でも自然の中でも独特の存在感を放つ。
ディーゼルエンジンを搭載するMINI クーパーS Dと同じ意匠のフロントグリルは、MINIのポップな世界観に力強さを与えている。

ともにフロントドアの前方に配置された、助手席側の充電ポートと運転席側の給油口のカバーにはELECTRICの“E“をデザインしたイエローのバッジがさりげなくつく。
このバッジはバックドアやエンジンカバーにも。また、フロントグリル内の”S“という文字もイエローになる。
ちなみにこのイエローは、室内のデザインにも配されていて、それがインパネ中央に配置されたエンジンのスタートスイッチ。ちなみにほかのMINIはここが赤なので、ちょっとした違いを楽しめる仕様だ。

MINIの世界観を感じつつも、ほかのクロスオーバーとはちょっと違う。そんな優越感もPHEVオーナーだけが味わえる楽しみだ。
「MINI クーパーS E クロスオーバー オール4」の車両本体価格は508万円。スモールSUVとはいえ、ほかの輸入PHEVより価格がかなり安く設定されているのも魅力のひとつ。
MINIが好き、でも人はちょっと違うMINIがいい。そんなワガママな向きには、このPHEVで、MINIライフをスタートさせてみてはいかがだろうか。
高橋 満=文