「Camp Gear Note」とは……
アウトドアで遊ぶうえでは、ロープ(別名・細引き)が1本あると何かと便利。さらに基本の結び方をいくつか身につけておけば、さまざまなシーンに対応できるようになる。
でも、なんだかロープの結び方ってややこしくて、覚えるの面倒なんだよなあ……。
今回は、そんなものぐさのあなたでも簡単に覚えられる、3種類のロープワークを伝授しよう。しかも、この3つさえ覚えておけば、ちょっとしたキャンプなら無双状態。
仲間から尊敬の眼差しを一身に集められることを約束しよう。
①初級編は「巻くだけで結ばない」結び方

まず、1つめは結ばない結び方、その名も「ノーノット」から覚えよう。
基本は、木の間にロープを張りたい場合に有効な結び方だ。

余った紐は下に垂れないよう、蝶結びでもなんでもいいのでまとめておけば完成。細い紐や太いロープでも使える。簡単でしょ?
②中級編は、輪っかを使った結び方

続いて、2つめの結び方は「プルージックノット」と呼ばれるもの。あらかじめ輪ゴムのような輪っか状にしておいたロープ(プルージック)を利用し、最初に張ったロープ上に自由に動く結び目を作る方法である。
自由に動かせる性質を利用し、タープの真ん中部分にテンションをかけたり(張りを出したり)、小物を引っ掛けるループを作ったりできる、とても便利な結び方だ。

ご覧の通り、結び方はこれも簡単。ポイントは最後にギュッと締め込むことくらい。
締め込みが緩いと動かしやすいが、テンションをかけたい時にズレやすくなってしまうので注意したい。

アウトドアでは、タープやツエルトの設営時に張りを出すためによく使われる結び方である。
小物ハンガーとしても活用できるので覚えておいて損はない。キャンプ出発前にあらかじめ、いくつか輪っかを用意しておくといいだろう。

③上級編は、自在代わりに使える結び方

最後に3つめは、少しだけチャレンジングな結び方を紹介しよう。
これは「トートラインヒッチ(自在結び)」と呼ばれるもので、自在にロープの長さや張りを調節できることが名前の由来。
タープやテントの張り綱に付いている「自在」というパーツと同じ役割を果たす結び方として知られている。

覚えてしまえばなんてことはないのだが、身に付けるまではちょっと難易度が高い結び方かもしれない。
そこで、ここでは少しだけ簡略化した方法を紹介してみたい(初めのツーハーフヒッチと呼ばれる結び目を簡略化)。これでも十分使える。

結び方は今までの2つよりも少しだけ複雑だ。基本的な構造は、折り返したロープで作った結び目のトンネルの中に、タープやテントから延びているロープが通っている状態をイメージしてみよう。

結び目の形は違えど、中級編で紹介した「プルージックノット」と構造は似ている。
この方法でロープを張ると、一度張ったあとでも自由に長さや張りの調整ができる。かなり便利な結び方なので、練習を繰り返してぜひ身につけよう。
ロープを使う際に忘れがちな2つのこと
結び方以外に、ロープを使う際に2つほど覚えておきたいことがある。
ひとつは、カットしたロープの切り口を処理すること。

ロープは使いやすい長さに自由に切って使えるが、切り口をライターなどで炙って処理しておかないと、そこからどんどん解けてきてしまう。

もうひとつは、木を利用するときはタオルや手拭いなどで樹皮をダメージから守ること。自然の中で遊ばせてもらっていることをお忘れなく。
ほかにもロープワークの沼は深い。実際に使ってこそ身につくものなので、まずはキャンプや庭仕事などで積極的に使ってみるといいだろう。

「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。
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池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真