走るタイミングやシューズの選び方、水分補給など、ランニングを始める前に知っておくべき基本的な情報は、前回お伝えしたとおり。

今回は実践編として、ラクに走るための秘訣やケガ予防、さらにはダイエットに効く方法を、ランニングコーチの金 哲彦さんに教えてもらった!


話を聞いたのはこの人!

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金 哲彦(きんてつひこ)●1964年福岡県出身。早稲田大学競争部時代には箱根駅伝に出場。

4年連続で5区「山登り」を走り、2度の区間賞を獲得。卒業後はリクリートでリクルートランニングクラブを設立。’95年には監督に就任。

2001年にはNPO法人ニッポンランナーズを設立し、プロアスリートや市民ランナーの指導にあたる。現在はホカ オネオネのアンバサダーも務める。著書に『新型コロナ時代のランニング』(KADOKAWA)など。


ラクに走るポイントは姿勢と体幹

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──とにかく長くラクに走るためのコツが知りたいです。

そのためには、まず姿勢が大事です。背筋を伸ばして、正面の10m先を見るイメージで顎は上下させないこと。両肩は真後ろに引いて胸を開き、肩の力を抜いてください。

左右の足に均等に体重が乗っているかもポイント。この姿勢ができるようになれば、過度な疲労やケガも防げます。

──なるほど。

プロのマラソン選手みたいに軽快にも走りたいのですが……。

彼らはスッ、スッと自然に足が前に出るような走り方をしますよね。その理由は体幹を上手く使っているから。

体幹とは背筋や腹筋などを含めた胴体全体を指す言葉。この体幹を柱(中心)にして、胴体を左右にねじるイメージで走ると、体全体がブレることなくラクに前へ進めるんです。

──着地のときのポイントはありますか?

足のつま先が真っすぐ前を向いて、体の真下に着地するようにすれば大丈夫です。こうすることで、フォームもさらに安定します。

──走っている間の呼吸はどうすればいいでしょうか?

息は走るリズムに合わせて「口で吐くこと」を意識してください。ちゃんと息を吐くことができれば、自然と空気は肺に入ってきます。

疲れてくると顎が上がってしまいがちですが、このときは要注意。顎が上がると気道が細くなるため、呼吸がしづらくなります。


ラン前は関節を回し、ラン後は筋肉を伸ばす

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──ランニングでのケガを防ぐにはどうすれば?

走る前の準備運動がいちばん肝心です。意識するのは、関節回りです。

まずはしっかり足首を回してください。そして膝回し、屈伸、伸脚、前・後屈などを行って関節を柔らかくしましょう。

上半身も肩をしっかり回すように。肩の力を抜いて軽いジャンプを繰り返すのも効果的です。

──そんなに特別な運動はないんですね。ランニング後はどうでしょう?

まずは、ウォーキングで徐々に筋肉を緩めましょう。そして屈伸や伸脚、アキレス腱伸ばしといった筋肉を伸ばす動きを深い呼吸をしながら行ってください。

また、筋肉痛がある場合は、温めるのではなく冷やすのがベスト。冷水のシャワーで腰から下を冷やすマラソン選手も多いです。翌日になっても筋肉痛がひどい場合は、走るのを休むかウォーキングを行って回復を促しましょう。無理は禁物です。


3カ月続ければやせ体質に変化

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──ダイエットに効く走り方はありますか?

脂肪を燃焼させるには有酸素運動を行うことが効果的です。

そのためには、心拍数はあまり上げないように走るのがいいですね。

1kmあたり8分ほどのゆったりとしたペースで、2時間くらい走るといいです。

──2時間……なかなかハードですね(汗)

最初はウォーキングと組み合わせればいいです。例えば、30分ランニングして、疲れてきたら2~3分ほどウォーキング、そのあとランニングを再開する、というようなメニューを繰り返せば脂肪の燃焼を持続させることができます。

もちろん、30分だけのランニングでも効果はありますので、自分のコンディションと相談して決めてください。

──どれくらいで効果が感じられるものでしょうか?

走る頻度や体質によりますが、週に5回ほど走れば、2~3週間で効果を感じられるはず。脚全体の筋肉もついてきますしね。

それに3カ月~半年くらい続ければ、脂肪を燃焼しやすい体質に変わってきます。そうなればしめたもの。少々食べ過ぎても太りにくい体になります。


ランニング中に持っておきたいギア

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──これはあったほうがいい! というランニングギアは?

紫外線のダメージや熱中症を防いでくれる帽子、さらにランニング用のソックスはおすすめです。たまに、普通の靴下で走っている人がいますが、ダメージを受けやすい部位をサポートできないので控えたほうがいいでしょう。

──ランニングウォッチはどうでしょう?

腕時計もいろいろありますが、私はアップルウォッチを愛用しています。心拍数や走行距離を測れますし、ICカードを設定しておけば、出先で飲み物を買うこともできます。

 


モチベーションの秘訣はランニング仲間

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──モチベーションを維持するコツはありますか?

いちばんいいのは、ランニング仲間をつくること。ランニングクラブに所属するのもいいですし、SNSを使って仲間を集めるのもいいでしょう。

一緒に走るとモチベーションが上がりますし、誰かと決め事を作ればサボりにくくなりますから。最近ではグルメランと呼ばれる、飲食店をめがけて走るイベントも人気があるようです。

 

金さんの話を聞いているうちに、だんだん走るのが楽しみになってきた人も多いのでは?

次回はウィズコロナ時代のランナーに欠かせない「ランニングマスク」について。快適に走れるマスク選びのポイントを紹介する。

 

押条良太(押条事務所)=取材・文

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