「小は大を兼ねる! スモールSUVの世界」とは……
見た目もサイズもアメリカンSUV。武骨でビッグサイズなイメージのあるジープにも、スモールSUVは存在する。
見た目は子供、頭脳は大人……、ではないけれど、見た目はしっかり“ジープ”なのに、日本でも扱いやすいスマートな2台と、その兄弟車とも言うべき1台を紹介したい。
意外とスモール!? なアメリカンSUVの雄・ジープ「ラングラー」
アメリカンSUVの雄、ジープ「ラングラー」がスモールSUVに入るというと、驚くかもしれない。
エンジンも、最高出力285ps/最大トルク347N•mを発生する3.6L V6エンジンを搭載するなど大排気量&パワーだ。しかし3ドアモデルの全長は4320mmと、実は十分に小さい(短い)のだ。
2007年デビューの3代目「ラングラー」からホイールベースを延長して5ドアにしたアンリミテッドが追加された。日本でも多くの人から選ばれるようになり、「ラングラー」というとアンリミテッドを思い浮かべるかもしれない。
だからスモールとは思えないのだが、軍用車のジープを祖先にもつ「ラングラー」だけに、本流は3ドア。もちろん現行型でも3ドアが設定されている。

もちろん悪路走破性は超本格派。
荒れた路面からの衝撃をしっかり受け止める屈強で軽量なボディと、手元で切り替えられるパートタイム4WDが備わり、さらに上級モデルのアンリミテッド・ルビコンは、フロント/リアのデフロックをスイッチで任意に行える機能も加わる。
一方で、普段使いにも配慮されていて、自動で2WD/4WDを切り替えるオートモードを全車に備えている。

どっしりしたスタイルに7スロットグリルや台形タイヤハウス、丸いヘッドライトと長いボンネットフードなどジープの伝統的なルックスは、3ドアモデルのサイズこそ伝統のバランスと言っていいだろう。
さらに、3ドアならではのオープンスタイルにもできる。
3ドアラングラーは日本では受注生産の形式が取られている。その意味でも気軽に選べるモデルではないが、都市でも大自然の中でも目立つことは間違いない。サイズは小さくとも、街中で一目置かれる存在になるのは間違いない。
街中でも気軽に走れるジープ「レネゲード」

いくらスモールとはいえ、「ラングラー」はハードすぎる、という人のためにジープは都市型コンパクトSUVの「レネゲード」を2015年9月にデビューさせた。
最新モデルは2019年2月のマイナーチェンジで外観を一新。7スロットグリルをはじめ、「ラングラー」にも盛り込まれているジープの伝統的なイメージを随所に取り入れながら、モダンな雰囲気が強調されている。日本の道でも扱いやすいサイズで、気軽にアメリカンSUVを味わえるのだ。

2019年のマイナーチェンジでは1.4L直4ターボから1.3L直4ターボにエンジンを刷新。FFのロンジチュードとリミテッドと、4WDのトレイルホークがあり、最高出力や最大トルクが若干異なる。
またトランスミッションもFFが6ATなのに対し、4WDは9ATが組み合わされる。

さらに2020年10月には、ジープ初となるプラグインハイブリッドモデルの「レネゲード4xe(フォーバイイー)」が追加された。
11月28日(土)から発売開始となる。「レネゲード 4xe」にはリミテッドとトレイルホーク、2種類のグレードが用意され、どちらも4WDとなる。最大48kmのEV走行も可能だ。
実はジープと兄弟車的存在
フィアット「500X」

また、「レネゲード」には、同じFCAグループであるフィアットから発売されている兄弟車的な位置づけの「500X(チンクエチェント・エックス)」も存在する。
「レネゲード」がジープの伝統的なイメージを継承しているのに対し、「500X」は大ヒットモデルのフィアット「500」をより力強くしたデザインを採用。インパネまわりも「500」のイメージを踏襲したカラフルなデザインになっている。
このように2WDと4WD、ガソリンエンジンとPHEVというように、さまざまなニーズに応えられる選択肢が用意されているのは、これまでにないジープの新しいトピックだ。
ジープらしい空気感を存分に味わうなら「ラングラー」、ジープらしさを気軽に楽しむなら「レネゲード」。ジープとは違うポップな世界観が好きなら「500X」。
ジープとそのグループは、選ぶことから楽めるスモールSUVが用意されているのだ。
「小は大を兼ねる! スモールSUVの世界」とは……
かつてメルセデス・ベンツがコンパクトクラスと冠した「190」の全長は4430mm。つまり、これより小さい車は“スモール”と呼んでいいと思う。
籠島康弘=文