「イギリスワインの銘柄を挙げなさい」と問われ、即答できる人は相当なワイン好きに違いない。
もともとイギリスは、“消費する側”としてのワイン大国ではあったが、“生産する側”としてのイメージは薄い。
変革の旗手はイギリスが誇る「ナイティンバー」。味も物語もイケているこのスパークリングワインは、これからのクリスマスシーズンにぜひグラスを傾けたい一本だった。
英国で爆発的なワインブームが広がる理由
イギリスのワイン消費量は世界的に見ても高く、世界3位のワイン生産量を誇るスペインを凌ぐ。それほどワインを愛飲していながら、なぜ生産地としてはメジャーではないのか。答えはシンプル。「ワインを造るには寒過ぎたから」である。
しかし、近年は環境にも変化が生まれ始めた。地球温暖化の影響もあって、南部を中心にブドウ栽培に適した地域が広がりつつあるのだ。

英国内でのワイン造りは爆発的な広がりを見せ、2019年度のワイン総生産量は1050万本と、2017年度の590万本の約2倍。同じく2019年度の売り上げは550万本と、2018年度より70%アップ。英国内のブドウ畑の敷地は3579ヘクタールと、2015年度から83%も増加しているという。
そんなワインブームを先頭に立って牽引しているのがナイティンバーである。
史上初のシャンパーニュ超え! その味は……

ナイティンバーは英国南部のウェスト・サックス州に拠点を置くスパークリングワイン専門のワインメーカーだ。
’06年に現オーナーがエステートを買収し、翌年には女性醸造家のシェリー・スプリッグス夫妻がワイン作りに参画。これまで数々の受賞歴を誇り、ここ数年は「最上級のシャンパーニュに匹敵する」と称賛されていた。
そして2018年には、世界最高権威とされるワイン・コンペティション「IWC」で、シャンパーニュ地区以外で初、かつ女性として初となる「スパークリングワインメーカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞。「シャンパーニュに匹敵する」どころか、シャンパーニュの天下だったスパークリングワイン界で頂点を獲り、その実力を世界中に知らしめたのだ。

実際にワインを開けてみよう。この日選んだのは、ナイティンバーを代表する「クラシック・キュヴェ・マルチヴィンテージ」。色は美しいゴールドで、立ち上る繊細な泡が目を引く。香りはベーカリーを思わせるトースト香やスパイスなど、複雑なアロマが際立つ印象だ。
味わいはフレッシュでながら焼きリンゴや蜂蜜、アーモンドのふくよかなフレーバーも感じる。上品で余韻が長く続く、エレガントを極めた一杯である。
使用しているブドウ品種はすべて自社農園で育てたシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3品種。

ペアリングはスモークサーモンや貝類と相性がよく、カナッペやパテなどの軽食にも合うという。また、薄いクラッカーやクリスピー生地も繊細な泡と好相性で、この日ペアリングした「鯖とクリームチーズのパテ」も、濃厚なパテと軽快なクラッカーがナイティンバーの芳醇な旨味と絶妙にマッチした。
逆に、スパイスが強めの食事とのペアリングは避けたほうがいいらしい。

それらしく長々と語ったが、要するに「めちゃくちゃ美味い」のひと言に尽きる。シャンパーニュ以外の地からこれほど上質なスパークリングワインが出てきたとは、IWCの審査員たちはさぞ驚いたに違いない。
ナイティンバーは現在、「クリスマス・ギフト・ボックス2020」を数量限定で発売中。デザインは英国人イラストレーター、オリー・マックスウェルが手掛けた。イルミネーションに包まれたロンドンの情景は鮮やかで賑やか。寒いはずなのに、どこか暖かみさえ感じられる。この時季のギフトにも最適だ。
「ワインを飲む楽しみの半分は、ワインについて語ることにある」という格言が欧州にはあるらしい。
今年は世界中が未曾有の危機に直面し、来年の見通しも未だ不透明。それでもホリデーシーズンは今年もやってくる。日々の不安もストレスも、今は極上の英国産スパークリングワインと一緒に飲み干してしまおう。
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