「ザ・ベストダウン 2020」とは……

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寒い冬を乗り切るため、注目ブランドの新作ダウンジャケットを徹底的に深堀りしていく本企画。第2弾はパタゴニアをピックアップ!

クラシックな見た目の新作「メンズ・ビビー・ダウンジャケット」について、広報担当の太宰さんに話を聞いた。

今季進化したパタゴニアの人気ダウン。変更ポイントを徹底分析!
メンズ・ビビー・ダウン・ジャケット 各3万9600円/パタゴニア(パタゴニア日本支社 0800-8887-447)


生地、デザインともにブラッシュアップ

「このメンズ・ビビー・ダウンジャケット、実は2012年から展開しているアイテムなんですが、今季は大きくモデルチェンジしています。

いちばん変わったのは生地とデザイン。特に胸から下の表地はこれまでよりはるかに生地が薄くなっています。そして、昨年まではフロントにジッパーが付いていましたが、スナップボタンのみに変更しています」。

よく見ると、バックパックを背負っても摩耗しないよう肩のヨーク部分は生地がしっかりしている。しかし、ダウンジャケットでスナップボタンタイプというのは珍しい。隙間から冷気が入ってこないのだろうか……。

今季進化したパタゴニアの人気ダウン。変更ポイントを徹底分析!

「たしかに、パタゴニア製品のなかでもかなり珍しいと思います。それでも、スナップボタンの内外をダウンで挟むことで、正面からの冷気に対してしっかりカバーしてくれます。

高所での極限の環境で、保温性がしっかりあるアイテムからインスピレーションを受けて、初代(2012年)のビビー・ダウン・ジャケットが生まれました。

5.5オンスのがっちりしたナイロンキャンバスを全体に使用し、ジッパーとスナップボタンを備え、さらにポケットに両サイドジッパーが付いていて、堅牢で重厚感のあるジャケットでした」。

今季進化したパタゴニアの人気ダウン。変更ポイントを徹底分析!

従来のビビー・ダウン・ジャケットが耐久性や機能性、利便性を追求していたのに対し、現代の暮らしに合わせ、余計なディテールを削ぎ落とし、必要な部分だけを残したのが今季生まれ変わったビビー・ダウン・ジャケットってワケだ。


自然へも、いっそうの配慮を

「2012年当初は600フィルパワーのヨーロピアン・グース・ダウンを使っていたのですが、現在はリサイクル・ダウンに変わり、さらに生地が薄くなりました。DWR(耐久性撥水)加工もPFCを含まない撥水加工剤に変わっています」。

PFCとは過フッ素化合物のこと。多くのアウトドア企業やブランドで使われている撥水加工だ。雨具やダウン製品だったり、山で使う製品のシェルにはほとんど使われている。ただし、自然分解されず、環境内に残留し続けてしまうという難点もある。

今季進化したパタゴニアの人気ダウン。変更ポイントを徹底分析!

「パタゴニアでは過フッ素化合物不含有への移行を進めていて、目立たない部分ですが、ここも重要な変更点です。こうした変更を経たことで約600グラムまで軽量化でき、耐久性と軽やかな着心地を両立した温かいダウンジャケットになりました」。

今季進化したパタゴニアの人気ダウン。変更ポイントを徹底分析!


「街」を想定したダウンジャケット

生地を薄くすれば軽くなるのは理解できるが、同時にパフォーマンスも落ちるのでは?

「表地が2012年のナイロンキャンバス素材から、現在はパーテックス・リサイクル・ポリエステル 100%に変わっています。生地を薄くすればするほど耐久性とのバランスが出てきますが、街使いの製品は保温性やしなやかさも求められます。

製品のデザインは、求められる機能性や、何処でどう着るのか、どんなシルエットがフィットするのか、ということから決めていきます」。

最後にサイズ選びのポイントをうかがおう。

「メンズ・ビビー・ダウン・ジャケットはレギュラーフィットなので、細身すぎず、大きすぎない適度なシルエットです。例えばベースレイヤー、シャツ、厚手のフリースを着て、そのうえにダウンを着る方ですとワンサイズアップする方もいらっしゃいます」。

さらに、「身長183センチの細身の方がMサイズを着ることもあります。ただ、サイズを大きくするほど身幅がどんどん広くなるため、隙間から冷たい風が入ってきてしまいます。インナーにどういった重ね着をするのか、それで動きづらくないかなど、好みや目的に合わせて選んでいただきたいと思います」とのこと。

オーバースペック一辺倒だったダウンジャケットシーンに一石を投じる「メンズ・ビビー・ダウン・ジャケット」こそ、僕らが求めていた逸品かもしれない。ベージュ、グレー、グリーン、ネイビーの4色展開で発売中だ。

 

「ザ・ベストダウン 2020」とは……
冬アウターの王様、ダウン。その温かさ、存在感、使い勝手の良さはアウター界で他の追随を許さず、だからこそ各ブランドは毎冬、渾身作を世に送り出す。さぁ、2020年のキング・オブ・キングスを決めようか。
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中田 潤=取材・文

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