「Running Up-Date」とは……
老舗バッグメーカーに勤める宮林誠之さんは、2020年初春の自粛期間をきっかけに走りはじめた1年生ランナーのひとり。
その少し前から、浅草橋に「OUROUR(アゥア)」という宿泊を中心とした複合商業スペースをオープンさせており、ランニングステーションとして利用するランナーと触れ合う機会があったことも走り始めた理由だった。
「OUROURがほかのランステと違うのは、荷物を預けて汗を流すだけの最低限な機能にプラスして、走ったあとにコーヒーを飲んでくつろいだり、雰囲気のある空間でお酒とごはんと会話を楽しんだりできるところ。ランニングを立体的に楽しんでいただけると思います」。
「隅田川テラスには自販機がない問題」はバックパックで解決
ランニングが自身の仕事に直結し、どっぷりハマっている最中。そしてランナーなら共感してもらえると思うけれど、ランニングギアを物色する方がファッションアイテムを見るよりも楽しい、という時期が絶賛到来中とのこと。

パッと目に付くのが、背中に背負ったミニマルなバックパックだ。
国内のアウトドア系パックメーカー、パーゴワークスの「ラッシュ3エアー」で、まるでベストのような背負い心地が特徴。ライトグレーのカラーリングがコーディネイトにもマッチしている。

「スマートフォンを入れるためのバッグはもの凄く探しました。ウエストポーチタイプを試したこともあるのですが、腰回りに負荷がかかるのと、揺れるのが気になってしまって。その点、これはまったく揺れません。ショルダーストラップに設けられたポケットにスマートフォンを、ストレッチメッシュ製の背面側の荷室にはドリンクのボトルなどを入れています」。
そのボトルにはクリーンカンティーンを愛用中。OUROURのマスコットキャラクターがプリントされたオリジナルバージョンだ。

「隅田川沿いって自動販売機がないんですよ。それで一度脱水になってしまったことがあって、水分は必ず携行するようにしています。このマイボトルはペットボトル1本分のサイズ。丁度良いです」。
1年生だからこそ、クッション性を重視したシューズ選び
足元に目をやると、ファッション業界のランナーに愛用者の多いオンのシューズがセレクトされている。

「最初の頃、速く走りたいからと高速系のシューズに手を出したらヒザを痛めてしまったんです。そこで周りのランナーの先輩に相談したら、このモデルが良いと。これにしてからは安心して走れるようになりました」。
“ザ・マラソンシューズ”のようなモデルとは顔立ちが異なり、街履きに兼用できるのも良いところだ。
「スマートなデザインで、主張が程良いと言いますか、個性はあるけどいたずらに目立たないので、ジャケパンスタイルのときも履いています。自分にとってはニューバランスとホカ オネオネの中間に位置するような存在です」。

「それから、オンはソックスも優秀なんですよ。ふくらはぎが太く、ヘタしたら肉離れを起こしてしまいそうな感覚はあるので、着地時のブレの防止に、やや丈の長いコンプレッション系のソックスをいろいろ試しているところです。
その中でもオンはフィット感がピカイチで、いつのまにか履いていることを忘れてしまっているほど。着圧は強めなのですが、面全体で均等にコンプレッションしてくれているからそう感じるのかな」。
アーバン&スタイリッシュさでオンの右に出るものなし
「ウェアのコーディネイトでは、統一感を重視するか、真逆で行くかの2パターンを意識しています」とのこと。
まだ初心者だと自認しているので、いかにもランナー然としたガチすぎる服装がしっくりこない。そこで、ナイキやアディダスのバスケットボール系のトレーニングウェアを合わせて、ユルさを醸すパターンか、今日のようにブラックトーンで統一させた都会的なコーディネイトで走る。

「オンのウェアはシルエットにお国柄が現れるのか、ほかのブランドとミックスして着ると違和感が出てしまうんです。だから今日は全身オン。この『ランニングパンツ』はヒザの部分で生地の切り替えしがあって、そのパターンを利用してメッシュ素材のベンチレーションが設けられています。冬用のアイテムですが、温度調整機能が高いから真夏以外ならこれ1本でOK」。
「ウェザージャケット」もスイスブランドらしくスタイリッシュで、キャップを被ったときのフードの収まり具合が最高とのこと。

「今までいろんなキャップを被ってきましたが、この『ライトウェイトキャップ』はあまりにも被りやすすぎて3色揃えてしまいました。締めつけはキツくないのに、被ったときのすわりが圧倒的に良いんです。
前述の自身が手掛けたランニングステーションをベースにして、仕事の空き時間に走るので、都市部に馴染むようなデザインをセレクトするのが宮林さんのギア選びだ。
この場所を活用してシューズを試し履きできるランニングメーカーのイベント開催スペースにしたり、ゆくゆくはランニングクラブのようなものを立ち上げてみたいとも。

ランニングも、ランニングコミュニティも、ランニングギアも全部が楽しい。宮林さんは1年生ランナーだからこそ気がつける、ランニングの新鮮な魅力を味わっている真っ最中なのだ。

氏名:宮林誠之
年齢:44歳(1976年生まれ)
仕事:林五 CMO
走る頻度:週5日程度、30~60分ほど
記録:レースへの参加はとくになし
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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真