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「Camp Gear Note」とは……

「テントやシュラフは良いものを揃えました。でも、スリーピングマットはホームセンターで買った銀マットを使ってます」。

こんなキャンパーは意外に少なくない。そんな皆さまに声を大にしてお伝えしたい。マット選びってマジ大事!

キャンプでの眠りの質を高めたいなら、こだわるべきはテントでもなく、シュラフでもなく、スリーピングマットだと言っても過言ではない。

寒さの魔の手は地面からあなたの背後に忍び寄ってくる。極寒の冬キャンプでは、特にその重要性は言わずもがなだ。

快適なスリーピングマット選びこそ、冬キャンプの最重要事項だ!
素材と構造、形状、長さや厚さによって、使うべきシーンが変わってくる。

マットの選択基準として、まず頭に入れておくべき要素が2つある。それは、

① 収納サイズや軽さなどの利便性
② 厚みや構造による断熱性や寝心地などの快適性

たとえば、登山や電車でのキャンプなら利便性の高いモデルを、車で行ける冬キャンプには快適性重視のモデル、といった具合にTPOによって2つの要素のバランスを考えてみると、選ぶべきモデルが見えてくる。


ビギナーにおすすめしたいクローズドセルタイプ

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ビギナーにおすすめなタイプだが、結局これに戻ってくるベテランも多い。

構造と素材の特徴によってマットは3つのタイプに大別でき、それぞれに向くTPOがあることを覚えておこう。

まず、もっともベーシックなタイプが「クローズドセルタイプ」。フォーム素材を凸凹に配置することでクッション性を生むシンプルな構造で、長年アウトドアマンたちに愛され続けてきたタイプだ。

特徴は広げるだけですぐ使えるので設営と撤収が簡単なこと。空気を入れないためパンクなどの故障がなく、焚き火の前で使えることもメリットだ。

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平坦な銀マットとの違いは、この凹み。この凹み部分はシュラフのロフトが潰れず、ここに体からの熱が溜まって暖かさを保つ仕組みだ。

一見薄く頼りなく見えるが寝心地は申し分ない。

構造や使い方が非常にシンプル、しかも価格が手頃。ビギナーでも安心して使える初めての1枚におすすめ。

用途によっては、角を落としたり、短くカットして軽量化することもでき、カットした部分は座布団にしたりと自由度の高さも特徴。表面に熱を反射するサーマルフィルムが貼られた雪上でも使えるハイスペックなモデルもある。


バランスに優れるセルフインフレータブルタイプ

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4角がカットされているのは、不要な部分を削り、ギリギリまで軽量化を図っているため。

続いて紹介するのは「セルフインフレータブルタイプ」。

このタイプは内部にフォーム材(密度の高いスポンジのようなもの)が入っているため、名前の通り、バルブを開けるとある程度自動で膨張することが最大の特徴。見た目の厚みから想像するほど、膨らます作業は苦ではない。

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内蔵されたフォーム素材が、地面からの冷えをブロックし、快適なクッション性と保温性も提供してくれる。

前述のクローズドセルより寝心地が良くてコンパクト、後述のエアパッドよりも素早く膨らませて断熱性に勝るバランスの良さがメリットだ。

特にキャンプ向けに設計された厚手のモデルは、内蔵フォームも分厚いため寝心地は快適そのもの。デメリットは畳む際に空気を抜き切るには少しコツがいることくらいだろう。

予算が許すならば、このタイプも初めの1枚としてビギナーにおすすめできる。


エアパッドタイプは扱い方に少々コツが必要

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軽量だが寝心地は快適そのもの。価格は3タイプの中でもっとも高価。

3つめは「エアパッドタイプ」。

こちらも名前の通り、空気を入れることでクッション性に優れるパッドを生み出す構造となっている。

特徴は軽量性と収納時のコンパクトさ。また、厚みのあるモデルが多く、地面の凸凹の影響を受けづらいため、場所を選ばず快適に眠れることもポイントだ。

空気だけでは断熱性に乏しいため、内部に熱を反射する特殊なフィルムやダウンを封入した寒さに強いモデルもある。

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太陽に透かしてみると光が透けるほど。軽量な特徴を活かすため、表地は薄い素材を使っていることが多い。

デメリットは膨らませる手間と時間がかかること。厚さのあるモデルは寝心地はいいものの、その寝心地を得るためにはある程度の手間がかかることは覚悟しよう。

また、軽量な特徴を活かす薄い表地を採用したモデルが多いため、尖った石や枝、焚き火の火の粉などで穴を開けてしまう危険性がある。前出の2タイプより慎重に扱わなければならない。

とはいえ、この軽さとコンパクトさはほかにない大きなメリット。このメリットを必要とするTPOを選べる経験者向きと言っていいだろう。

快適なスリーピングマット選びこそ、冬キャンプの最重要事項だ!

[撮影協力]
イワタニ・プリムス
03-3555-5605
www.iwatani-primus.co.jp

「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。

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池田 圭=取材・文 宇佐美博之=写真

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