店で酒を嗜む機会が減り、家で飲む割合が増え、これからの季節ならばアウトドア飲みという選択も多くなるだろう。
そんな状況で至福の一杯を求めたいのなら“樽生”のテイクアウトはどうだろう? ビアグロウラーで。
ビールの調達に、まずはタップルームへ
……ということでやってきたのは、東京・板橋にあるクラフトビールメーカー「東京エールワークス」のタップルーム。

こちらは自社で作ったビールを常時20種類以上、樽生で楽しめる夢のような店だ。その運搬に必要なのが、彼らが輸入代理店を務めているビアグロウラー「ユーケグ(UKEG)」である。

そもそもビアグロウラーとは、ビールのための水筒のこと。
原始的なものだとガラスや陶器のボトルだが、今は炭酸の内圧に負けないようにできた、ちゃんとした蓋つきの魔法瓶が主流となっている。
タップルームでビールを持ち帰る文化がまだまだ根付いていない日本ではあまり聞き慣れないが、欧米の魔法瓶メーカーでは商品ラインナップに必ずビアグロウラーを加えるほどメジャーな存在だ。
なかでも「ユーケグ」は機能もデザインも優秀。ビールをテイクアウトしたくなること請け合いだ。
進化系ビアグロウラーの“中身”を分解してみよう

この「ユーケグ」、ボトルの内部は二重構造の真空断熱ステンレスなので、何時間も外気に影響を受けることなく、ビールを冷えたまま保管が可能。
そして特筆すべきは、店で使われているビールサーバー同様に炭酸が注入できる機構があることだ。

これによってビールのガス抜けや酸化を防いでくれるので、美味しい状態で持ち運ぶことができる。
つまり「ユーケグ」は持ち運べるビールサーバーに近い存在といえるのだ。

といっても使い方はとっても簡単。まずはよく洗って消毒をした清潔なグロウラーの中に、なみなみとビールを注ぐ。

そして、なるべく空気が入らないようにキャップを閉めたらツマミを開いてガスを少し注入。
そのあと中に入った空気を抜くため「プシュ」と鳴るまでキャップを少しを開いて、再び閉じれば完了。

あとは注ぎ口にあるロックをしっかりして、飲むときまで保管するだけ、だ。
20時間後。キャンプ場で注いだビールは美味いのか?

金曜日の夕方、ビールを入れた「ユーケグ」を小脇に抱えて東京エールワークスを後にし、帰宅。念のため、そのまま冷蔵庫に入れ、翌朝、キャンプに出かける直前まで冷やした。
最高の一杯のために車を走らせ、キャンプ場でアウトドアリビングを作り上げたらついに、そのときはやってくる。

高鳴る鼓動を抑えて、ツマミを目盛の半分まで開き、圧力計を見てガス圧をチェック。ロックを外し、ハンドルを手前に引くと……。

ビールが勢いよく注ぎ出され、柑橘系のフルーティな香りがすぐに鼻孔に到着。口に運ぶ前に美味しさが伝わってくる。

肝心のお味はというと、炭酸が抜けている感じもなく、前日にタップルームで飲んだときと遜色ない芳醇さだ。
むしろ、この正統派アメリカンエールを美味しい状態で仲間とシェアできたうれしさからか、なんだか更に味わい深く感じることができた。

「おいおい! 高いビールなんだからそんなに水みたいにガブガブ飲むなよ!」なんて言って笑いあえるのも、ビアグロウラーでクラフトビールを楽しむ醍醐味。
このご時世もあり、年齢を重ねて環境が変わったこともあり、盃を交わす機会が減っている。だからこそ、誰かと飲むビールは特別なものにしたい。そんな大人に、ビアグロウラーはしっかり味方してくれる。
[取材協力]
東京エールワークス
住所:東京都板橋区板橋1-8-4
電話番号:03-3961-1196
https://taproom.tokyoaleworks.com/
鈴木純平=文