「偏愛スニーカー三番勝負」とは……
アメカジは我々にとってファッションの登竜門であり、メンズカジュアルの基本の“キ”。だからこそ、人気芸人、さらば青春の光・森田さんが貫く深い“アメカジ愛”には、少なからず共感してしまう。
そんな彼が愛を注ぐスニーカーは、ローテクが基本。デニムに合い、履くほどに深みを増すその姿、うん、大好きだ!
①先鋒 コンバース「チャックテイラー CT70」

これまで、多くのスニーカーに足を通してきた森田さん。実感したのは、「ゴリゴリのハイテク系やブーツ系が似合わない」ってこと。だから、若い頃からスニーカーは断然ローテク派だ。
ローテク派を自称するのにはもうひとつ理由が。森田さんのはくボトムスはジーンズがベース。その頻度はビジネスパーソンにとってのスーツを上回る勢いで、そんなときも足元に断然収まってくれるのがローテクスニーカーなのだとか。そして、その最たる例と言って憚らないのがコンバースだ。
「ジャックスターやワンスターもそうですけど、ジーンズにズバッとハマる一足を作っているのって、やっぱりコンバースだと思うんです」。
そんな森田さんがスニーカーを選ぶうえで大切にしていることがある。それは、今後も変わらぬ関係で長く付き合えるかどうかってこと。

「洋服を選ぶときもそうなんですけど、“このデザイン、一生履けるな~”と思えるかどうか。だから、必然的にシンプルなスニーカーや定番品に手を出しちゃいます。
コンバースを象徴するチャックテイラー。こちらは1960~70年代のディテールを再現した、通称「CT70」と呼ばれる復刻モデルだ。
日本で買えないこともないのだが、手に入れるのはそう容易くはない。そこで、仕事で韓国へ行った際に半額で販売していたこちらを購入した。

「3足一気に買っちゃいました(笑)。一般的なオールスターよりもつま先の白い部分がコンパクトになっていて、ツルッとした風合いがめっちゃ好きなんですよ。もう好きすぎて、家はチャックテイラーだらけで所有数の1/3を占めています」。

購入したものの、いまだにおろしていないものもあるとか。
「貧乏性なんですよ。なかなかおNEWなスニーカーをおろせない、小さい人間なんです(笑)」。
②中堅 ’80年代のナイキ「エア フォース 1」

森田さんが最初に手にしたスニーカーはナイキ。コルテッツや“縦ナイキ”(ナイキがロゴに使用していたフォントで、縦に「NIKE」と表記されていることからそう呼ばれる)など、ことあるごとに森田さんのスニーカー史に登場するのがナイキである。
「高校生の頃は、ナイキのスニーカーがとにかく格好良く見えましたね。ブレーザー、ワッフルトレーナー、ダンクなどなど、憧れのモデルを挙げたらキリがない。エア ジョーダン 1なんて、おそらく一生格好良いな~って思うやろうし」。

ナイキの門戸をくぐり、さまざまなシューズに足を通すなか、特に思い入れの強いモデルが「エア フォース 1」だ。
「学生の頃、足の甲に小さいナイキのマークやシルバープレートがあしらわれた復刻版が大流行したんです。これは、それよりも前に作られた初期モデル。ご覧のように装飾がほとんどなく、履くほどに味が出やすいキャンバス生地ってところも最高です」。

エア フォース 1は復刻以降、’90年代に爆発的ヒットを記録してさまざまなモデルも登場したが、’80年代の初期型というのはなかなかにして貴重。今ではそう簡単に見つけられるものでもない。
「普段から古着店はよく巡りますけど、売っているところを見たことがない。それが、たまたまメルカリに出品されていて、めちゃくちゃ状態も良かったんです。
だいぶ高額でしたが、これを逃したら出合う機会がないかもと思ってポチっちゃいましたね」。
③大将 アディダス「スーパースター プロモデル」

「スニーカー=ローテクなんちゃうの? っていうほど今でもローテクは常に履いています」と森田さん。しかも、年を重ねるほどにローテクらしいローテクに傾倒しているという。
そこで、3足目に手にしたのがアディダスのこちら。

「スーパースター」は言わずと知れたアディダスの代表作で、数々のアーティストに愛されてきた名品番である。ただ、森田さんは、’80年代にヒップホップやスケートカルチャーで幅を利かせたローカットではなく、その原型とされるミッドカットの「プロモデル」を選抜。
「僕の中では、なぜかローカットのスーパースターよりも圧倒的に格好良く見える。紐をギュンギュンに絞ってつま先をクイッと上げて履くのが好きなんです」。

ずっと欲しかったモデルではあったものの、面倒くさがりな性格から購入に二の足を踏んでいたという。
「脱ぐときも履くときも紐を締め直さなければいけない。それがちょっと億劫だなって……。それで結局履かなくなるのではと思って買うのを控えていました。
しかし、コットン製にしか見えないゴムのシューレースをネットで発見したんです。
◇
これまで、どれだけのスニーカーに心をときめかせてきたことか。それを買ったり買わなかったり、満足したり後悔したりを繰り返してきたワケだが、結局行き着く先は“シンプル”なのかも。
そう実感させてくれる、森田さんのスニーカー三番勝負なのでした。
「偏愛スニーカー三番勝負」とは……外に出られずとも眺めているだけでアガる、それがスニーカー。スニーカー愛に溺れた生粋のスニーカー好きたちが偏愛する一足を披露する、スニーカー三番勝負。
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菊地 亮=取材・文