まだまだ出てくる、オッサンが今さら聞けないデニムの「困った」。洗濯・保管方法に続き驚きの便利グッズやスゴ腕リペアショップを、ファッション業界屈指のデニムのプロたちがご教授くださいました。
前編に続き、損はさせないデニムの表ワザと裏ワザ、ここに御開帳~。
「困った」を解決してくれたデニムのプロ
「ワンオー オー! ショールーム」シニア マネージング・ディレクター 大坪洋介さん
数々のブランドのディレクターを務めてきたデニム&ファッション業界の生き字引。
「ジャンティーク」代表 内田 斉さん
世界中のヴィンテージファンが聖地巡礼に訪れる、中目黒の名店ジャンティーク代表。
「レミ レリーフ」デザイナー 後藤 豊さん
デニムはもちろん、あらゆる古き佳きヴィンテージ服の「経年変化」を追求し続けているレミ レリーフのデザイナー。
スタイリスト 松田有記さん
メンズはもちろんレディスもキッズもOKなスタイリスト。その守備範囲の広さからか、自身着用のデニムもモードからストリートまで毎日別物。
ライター いくら直幸さん
好きが高じて某デニムブランドのプレスの職に。その後ライターに転身、数多くの雑誌やカタログで執筆中。
Q. 白いスニーカーへの色移りを防ぎたい。
A. 靴に防水スプレーをたっぷりかける。

白スニーカーが真っ青に。生デニム好きなら誰もが経験してきたはずだ。「スニーカーに限らず、靴を下ろすときには必ず防水スプレーをかけます。
たっぷりのケチャップを弾く動画がひそかに話題の、イギリス発の防水スプレー。その効果は絶大。「スニーカー全体に吹き付けて、少し間をおいてもう一度。1時間ほど待てばOKという早さも魅力です~」。
Q. 古着のデニム。試着せずにサイズを知る方法は?
A. デニムを首に回せばだいたいのサイズがわかる。

逸品との出会いを求めて古着屋へ。ロックオンした本命を試着する前に、ぜひモノの確認ワザがある。
「デニムを首に回すんです。“自分の首回り×2=自分のウエストサイズ”という通説を利用。つまり、トップボタンを留めたデニムを首に回してピッタリだったら、ウエストもジャスト。
Q. ビリビリッ。デニムが破れたとき、とりあえずどうする?
A. 裾上げテープで圧着する。

デニムは丈夫。でも、生地が擦り減ったり、無理な力がかかると、いきなり破れてしまうことも。リペアがベストとは知っているが、とりあえずつなげときたいんだけど。
「ある程度きれいに裂けた場合に限りますが、裾上げテープを当てれば解決します。アイロンで圧着するので、洗濯してもすぐには剥がれませんよ!」(後藤さん)。裾上げテープは100円ショップなどでも売っている。表ワザだが、テープは裏から。
Q. 裾上げしたときはアタリや糸までこだわりたい。
A. スゴ腕のリペアショップが千葉にあった。

ヴィンテージデニムのファンならば、裾上げにもこだわって然るべき。ユーズドならば自然なアタリが欲しいし、古い時代のデッドストックならばやはり綿糸を使って、当時のユニオンスペシャル(ミシンね)で仕上げてほしい。
「私が全幅の信頼を寄せているデニム専門のリペアショップがあります」(大坪さん)。その名はYMファクトリー。ヴィンテージコレクターでもあるオーナーの三浦やわらさんは、あらゆる年代の糸やデニム地を揃え、裾上げ前のデニムに限りなく近い状態で仕上げてくれるのだ。
YMファクトリー
電話番号:0478-59-2015
住所:千葉県香取市大崎262-1
営業:13:00~18:00 不定休
Q. カットオフデニムがどんどんほつれてきた!
A. 面倒くさがらずにミシンでステッチ。

ここのところ目にする機会が増えてきた、写真のようなカットオフデニム。ちょっとレトロで、イイ感じ。自分で切ったわけじゃないし、ちゃんとほつれないようになってるんだよね──というのは間違いで、ものにもよるけれど、洗うとどんどんほつれてきちゃう。
「超簡単に解決できます。フリンジの根元にミシンで1本ステッチを入れるだけ。
Q. 生デニムからはけばどれもいい色落ちに?
A. 1本1本まったく違う。はいてみなければわからない。
一度も水を通していない生デニム。ここからはいていけばどんなブランドのデニムもヴィンテージ風な色落ちになると、のんきに思ってた。
「素材、染色、縫製によっても色落ちに差が出ることは間違いありません。ひと口に生デニムといっても個体差があるし、はいてみないとわからないことのほうが多い。だからデニムは面白いんです」(内田さん)。
防縮加工を施していない生デニムが好きで、加工したデニムはいっさいはかない内田さんがたどりついたのは、“デニムは1本1本がまったく違うもの”という答えなのであった。
30回洗っても色落ちしないブラックデニム
ご存じデンハムが、イタリアの生地メーカー、カンディアーニ社と共同開発した注目のデニムがある。

鈴木泰之=写真 戸叶庸之=文