「そうだ 京都、行こう」。名優・長塚京三さんの渋い声は、いつでも我々を京都に誘ったが、この4月から、車好きにとってもうひとつ、京都に行きたくなる理由ができた。

古くて良い味の出ている古都を、古くて良い味の出ているシトロエンの旧車に乗って回れるからだ。


 


“ブリキの缶詰”で、素朴に京都を巡る

シトロエン車のレストアと販売を行っている京都の会社アウトニーズが、クラシック・シトロエンをレンタカーとして提供するサービスをこの4月から開始したのだ。

借りることができるのは、「2CV」と「DS」というシトロエン往年の名車。

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こちらの2CVは1948年から販売されたシトロエンの名車。

当時の農家の人たちのため「大人ふたりと50kgのジャガイモと積んで60km/h出せる」ことや「籠に積んだタマゴが割れない快適な乗り心地」を目指して開発されたと言われる。

はじめて姿を現した1948年のパリのモーターショーでは、訪れたジャーナリストなどに「醜いアヒルの子」「ブリキの缶詰」などと酷評された。

しかしその価格と乗り心地の良さ、広い車内といった長所が大衆に受け入れられて、あっという間に大ヒットとなった。

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インテリアも独特。ステアリングは一本スポークで、シフトレバーはダッシュボードから突き出ている。借りる際はお店でしっかりレクチャーを受けるようにしよう。

排気量の拡大など少しずつ進化を遂げつつも、最初の要件を損なうことなく、結果1990年までという長きにわたって愛され続けた「フランスの国民車」だ。

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西武自動車販売が輸入していたこともあるほか、多くの2CVが海を渡ってきた。今も多くのファンを持つ車だ。

 


■「魔法の絨毯」で、ゆったり京都を巡る

一方のDSは、1955年のパリモーターショーで初めえて披露されると、誰もが大絶賛した車。発表当日だけで1万2000件も注文を受けたという。

その「未来からやってきた乗り物」感は訪れた人々に大きな衝撃を与え、ジャーナリストたちは「時代より10年進んだ車」と書き立てた。というか、66年経った今でもどこか未来的なデザインだ。

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ヘッドライトはステアリングに連動し、首を振って進行方向を照らす。レンタルできるのは2.3Lエンジンを搭載した「DS23」。

DSは見た目だけでなく、機能も遙かに進んでいた。

中でも「ハイドロニューマティック・サスペンション」と呼ばれる独自の足回りは、「魔法の絨毯」と評された。

誰ひとり魔法の絨毯になんて乗ったことがないのに、そう書きたくなるほど極上の乗り心地なのだ。

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こちらも一本スポークステアリングだが、注目は足元。アクセルペダルの隣にある「丸い玉」がブレーキだ。DSも借りる際にしっかりレクチャーを受けるようにしよう。

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オープンカーやワゴン、大統領専用車なども作られた。写真では後輪がほとんど見えないが、エンジンをかけるとボディがムニュニュとせり上がる。

利用料金は2CVが1万6800円/1日、DSが2万8000円/1日。1泊2日や2泊3日プランもある。

2CVとDS。こんな旧車で京都を巡れば、雰囲気ある古都の街並みに、よりしっぽりと浸れるはず。どうせ区レンタカーを借りるなら、ドライブ自体を“アクティビティ”としてより京都を楽しめるこんな選択肢は大いに有りだ。

[問い合わせ]
アウトニーズ
www.auto-needs.com

籠島康弘=文

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