連載「実現可能か!? 俺の週末・軽井沢ライフ」
1980~’90sに青春をすごした男にとって、軽井沢は特別な場所である。かつて避暑地として一世を風靡した、緑深くも都会的なその土地に、憧れを抱かずにいられない。

そんな場所に拠点がつくれるとしたら! 今回は、1日・1カ月単位で借りられる貸別荘でお試し移住を考えてみた。

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自然の中で静かなときを味わう、別荘暮らし。週末の過ごし方として憧れるが、購入するのはハードルが……。ならば、お試しとして「貸別荘」はいかが? 日単位や月単位で宿泊できる貸別荘は、ホテル以上に手軽に利用できて、使い方の幅も広い。

“週末の行き先”として、さらに期間を延ばせば“お試し移住”としても最適な貸別荘について、貸別荘サービスを運営するARICAの岩丸誠一さんに伺った。


別荘版・シェアリングエコノミー
ホテルより安く済む場合も

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移...の画像はこちら >>

「貸別荘とはいわば、シェアリングエコノミーの別荘版。個人の別荘を、オーナー不在の期間中のみ利用者へと貸し出すサービスです。弊社の場合、デザイン物件も多いため、1棟あたりの費用の相場は、日単位なら4万~8万円、月単位なら1カ月あたり数十万円~。利用者の人数によって価格は左右されないので、大人数の家族などはホテルより安く滞在できることもありますよ」。

リアルな別荘でリアルな軽井沢ライフを体験できる。まさに別荘購入を検討中の人には打ってつけのサービスだが、それゆえの注意点もあるという。

「ホテルのように『貸すために作られた空間』ではないことは頭に入れておかないといけません。例えば、家具の角が丸みを帯びていなかったり、思いもよらないところで段差に躓いたりするケースもあります。

お子様連れの方などは十分ご注意してください」。

では、実際にどんな物件を取り扱っているのだろう。岩丸さん案内のもと、2つの別荘を覗かせてもらった。


自然のなかに忽然と佇む、隠れ家のような別荘

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移住」を考える

最初に紹介してもらったのは、緑豊かな森の一角。生い茂る木々に囲まれて、ひっそりと佇む隠れ家のような別荘だ。都内でも活躍する設計事務所「FLASH HOUSE」の手掛けるこちらは、自然と調和したウッド調ながらもモダンな雰囲気を纏っている。

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移住」を考える

この圧倒的な眺めは、1階のウッドデッキから。間近に木々を感じるロケーションに、つい深呼吸したくなる。ダイニングキッチンと隣り合っているため、バーベキューにもぴったりだ。

大きなガラス窓はここだけではなく、2階のリビング兼ベッドルームやバスルームにも設置。ゆったりと眠りに落ちながら、あるいは湯に浸かって心身を癒しながら、極上の景色を堪能できる。なるほど、この大自然との距離こそが、別荘暮らしだけに許された贅沢なのか。

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移住」を考える
フラットな設計の扉を開けば、別世界[画像をもっと見る]


360度ガラス張り。
安らぎと非日常の融合したアーティスティックな別荘

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武井誠+鍋島千恵/TNA(www.tna-arch.com)

続いて訪れたのは、2015年に建築学会賞も受賞した建築ユニット「TNA」の手掛けた話題作。この別荘目当てに訪れる外国人観光客もいるほどで、360度ガラス張りになったアーティスティックなデザインに目を奪われる。

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移住」を考える

中に入ると、その臨場感に驚く。周囲の木々をわずか3本しか伐採せずに建てているそうで、さながら森のなかにいるかのような錯覚を覚える。寝室もバスルームもガラス張りで、天井高は4m。薪ストーブやキッチンも最小限のスペースに抑えられているため、のびのびと開放的に生活できる。

森の安らぎと刺激的な非日常。それらの融合したユニークな別荘は、週末ライフを大きく盛り上げてくれそうだ。

1日 or 1カ月どっちにする? 軽井沢の貸別荘で「お試し移住」を考える
別荘までの道標となる灯り[画像をもっと見る]


ファミリーからカップル、シニア層まで
「誰でも楽しめる」という強み

「日単位での利用なら、最も多いのは30代~40代のファミリー層。とくに小さいお子様連れの方にとっては、周囲に気を使わず、キッチンで離乳食なども作れる貸別荘は便利なのだと思います。そのほか、別荘購入をお考えの方や、非日常な体験を求めて特別な日に訪れる若いカップルも多いですよ」。

別荘購入やタイムシェア別荘と異なり、利用者の属性は本当にバラバラなようだ。

お手軽に利用できることから、さまざまな貸別荘をはしごするリピーターもいるという。一方で月単位になると、“本格派”な使い方も目立ってくる。

「月単位の場合、別荘購入を見据えた“お試し”を兼ねて利用する人も増えます。なかには夏季に別荘を借りて、妻と子供は別荘暮らしで旦那さんは週末だけ軽井沢、なんてスタイルを楽しまれている人もいますね」。

そんな“お試し”で貸別荘を利用する場合、どんなポイントに注意すればいいのだろう。岩丸さんは、不動産屋目線でのアドバイスも送ってくれた。

「さまざまな貸別荘を試して、『エリア』と『建物』の好みを探してみてください。軽井沢ではエリアごとに景色や利便性、おまけに天候まで違うので、実際に生活して順応できるかは重要です。また、建物もモダンなタイプから山小屋のようなタイプまで豊富なので、ご自身の使い方やライフスタイルにハマる設備とデザインを見つけましょう」。

ひと握りの人にしか許されなかった別荘暮らしという夢を、まさに誰でも楽しめる貸別荘。ホテル代わりに使ってもいいし、別荘購入を見据えたお試しに使ってもいい。あくまでもオーナーの所有物なので丁寧に使うことは忘れずに、思い思いの別荘ライフを満喫してみてはいかがだろうか。

澤田聖司=撮影 佐藤宇紘=取材・文

【取材協力】
株式会社ARICA
http://vr.aricajapan.com/index.html

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