時計とは無論、時を計るものだ。と同時に、コーディネイトのポイントとなり、ときには着用者を体現する名刺の役割すら果たす。
そんな時計の持つ多様性をさらに広げるのが、他業種とのコラボレーション。その可能性に、ワクワクせずにはいられない。
① ブライトリング×アウターノウン
BREITLING
ブライトリング/スーパーオーシャン ヘリテージ クロノグラフ 44 アウターノウン
空の王者として名高い一方、その優れた信頼性で海軍や海洋冒険家からの支持も厚いブライトリング。かたや、レジェンドサーファーのケリー・スレーターが立ち上げたアウターノウン。
両者の蜜月は、持続可能な海洋保全をキーワードとする。

美しい地球をモチーフとするブルーダイヤルを支えるのは、世界中の海から集められた漁網などのナイロン廃棄物を主原料とするエコニールヤーンストラップ。当然、プロ仕様のダイバーズとしてのスペックも備える。
② IWC×メルセデスAMG

IWC SCHAFFHAUSEN
IWC シャフハウゼン/パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “AMG”
実用的な道具であることに加え、ともに偉大なるロマンが宿るからだろうか。時計と車は少なからず同系列に語られ、ゆえに相性がいい。
異業種の両雄が手を結んだこのコラボレーションウォッチが、その最たる証左となるだろう。
メルセデスAMGの自動車工学からインスピレーションを得た、IWC初のチタン製「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ」。マットグレーの気品ある外観はメルセデスを代表するセレナイト・グレー・マグノ塗装仕上げを彷彿させ、カーボンファイバーダイヤルにも疾走感が宿る。
③ コルム×サルバドール・ダリ?

CORUM
コルム/ビッグバブル 52 マジカル
大胆なドーム型を描く、厚さ8mmものサファイアクリスタル風防が特徴の傑作「バブル」。本作のダイヤルにはネオンオレンジの光線に包まれた宇宙服姿のスペイン人画家、サルバドール・ダリの人物画をレイアウト。
このイラストを手掛けたのは、イタリア系カナダ人の女性画家エリザベット・ファントン。
チタンケースとラバーベルトは黒のグラデーションを描き、深遠なる宇宙を表現。
④ オメガ×007

OMEGA
オメガ/シーマスター ダイバー300M 007 エディション
今年10月に公開予定の映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』。それを記念した最新の“ボンドウォッチ”は、主演を務めるダニエル・クレイグのアイデアを取り入れたというレトロなミリタリーテイストが特徴だ。
6時位置に英国軍官給品のマークであるブロードアローを模したモチーフを刻み、随所に用いられたベージュカラーのスーパールミノバがヴィンテージな雰囲気を漂わす。
さらにメッシュブレスレットにはチタンを採用するなど、タフなエージェントに相応しい、軽量性と強度も兼ね備えた。
⑤ ラドー×デザインスタジオ「ヨイ」

RADO
ラドー/トゥルー スクエア アンデジタル オートマティック
ブランドのデザイナーズモデルのパートナーとして今回選ばれたのは、東京を拠点とするデザインスタジオ、ヨイ。その凄みは、モデル名の「アンデジタル」に凝縮される。
漆黒のハイテクセラミックスで囲われたダイヤルに、デジタル時計の表示方式である7セグメントディスプレイをモチーフとする時分針をセット。
スマートかつユニークな手法で、腕時計の楽しさを示した。アナログとデジタルの狭間で生まれた表現が、ラドーの新しい扉を開く。
⑥ セイコー×国境なき医師団

ASTRON
アストロン/グローバルライン スポーツ 5X チタン 国境なき医師団 コラボレーション限定モデル
たった1秒の誤差が、行く末を大きく左右する。腕時計はその象徴的アイテムであり、可能な限り迅速な対応が求められる医療現場も同じ価値観を共有する。
紅白の配色が印象的なこちらは、今年で設立50周年を迎えた「国境なき医師団」とのコラボレーションで、GPS電波ソーラーウォッチ。
計時の正確性だけでなく、20気圧防水、堅牢なチタンケースなど充実のスペックを誇る。チタンブレスレットのほか、付け替え可能な赤いラバーストラップが付属。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール
須藤敬一=写真 梶 雄太=スタイリング 飯嶋恵太(Mod’s Hair)=ヘアメイク 柴田 充、まつあみ 靖、増山直樹=文