若い人たちにも、もっと手軽に古着を手にとってもらう文化を作りたい――。
パタゴニア東京・渋谷ストアで開催中の「Worn Wear ポップアップストア」。

いろんな意味でこの夏、最注目のポップアップストア、その深淵なる世界をご覧あれ~。
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「新品以上の価値がある古着」って何?

「特に若い人たちに、もっと古着を手軽に選んでもらう文化や習慣を作りたい。そう考えて、今回のポップアップストアを開催しました」。
そう語るのは、リテール オペレーションシニアマネージャーの佐藤拓也さんだ。
「新たに物を買うとき、新品のなかから選ぶことが多いと思います。最近はeコマースで買う機会も増えたでしょう。でも、実際に店で着てみたら古着で十分だと考える人は大勢います。ここでは、実際に古着に触ってもらいたいと思います」。

店内に並ぶのは、パタゴニアのスタッフたちから買い取った中古品や、客のニーズに合わなかったアイテムの数々。ダウンからシェル、パンツからギア類まで、あらゆるジャンルが揃っており、これらをすべて検品して洗濯、ダメージのあるものはリペアしたうえで再販している。
実際に見てみると、多少の使用感こそあるものの、どれも綺麗で長く付き合っていけそうなものばかり。

パタゴニアの創設者、イヴォン・シュイナードは「最高のジャケットは既に作られたものである」と言ったそうだ。
地球に負荷をかけることなく、シェアして使い続ける。そこには新品以上の価値があるというのがパタゴニアの流儀なのである。
地球のためには、服を受け継ぐことが大切だ
ポップアップストアでは、「服を修理して、長く着続けることの面白さ」をストーリー仕立てで提示することにも力を入れている。

パタゴニアの服やギアが誰にどう使われてきたかが綴られたストーリーは、店内各所にパネルで展示されている。
「なかには前の持ち主のストーリーが書かれたタグ付き商品も用意しているので、ぜひ手にとって、感じてみてください」。


パタゴニアがここまで大規模な古着のポップアップストアを開催したのは初。背景には、深刻化する環境問題への配慮がある。
近年日本でも関心が高まっているSDGsの17の目標では、持続可能な生産・消費サイクルの確立を目的に、「つくる責任、つかう責任」という項目も掲げられている。
これはアパレル業界が特に深く関わる分野で、例えば服の生産には多くの電気や水を使用するし、服を廃棄して焼却する際は莫大なCO2を排出してしまう。

「地球の温暖化問題は年々深刻化していて、もうあまり悠長ではいられません。我々のようなアパレルブランドも資源の循環のなかに加わっているので、『新しいものを作る』『新しいものを買う』の前に、『すでにできているモノを手にする』ことがいちばんだと思っています。
パタゴニアによると、洋服の寿命をわずか9カ月伸ばすだけで、従来の炭素排出量や水の使用量、そして廃棄物の量を20%~30%も削減できるのだという。

購入は2点まで。必要以上に所持しないことの大切さ

店内に並ぶアイテムはどれも魅力的で、ついアレコレと衝動買いしそうになってしまう。しかし、残念ながら購入できるアイテムはひとりにつき2点までという縛りがある。
「服をリペアしたり、古着を選んだりすることも大切ですが、いちばん大事なのは、必要以上に物を持たないことです。欲しい物がたくさんあっても、よく吟味して、『本当に必要かな?』と考えてみることが大切だと思いますので、今回は購入点数を絞っていただくことにしました」。

安いからといって大量に購入しても、結局、着ずに廃棄してしまえばまったく意味がない。
たくさん買いたくなる気持ちもわかるが、それはグッと堪えて、自分にとって本当に必要なアイテムのみを厳選して購入しよう。もちろん、「買わない」という選択肢もあるべきだし、これはパタゴニア以外で買い物をするときも同じである。
「混雑時は入場人数を制限して、安全管理もしています。ぜひご来店いただき、それぞれのアイテムが持つストーリーを感じてみてください」。
新品以上の価値がある“Worn Wear(使い古した服)”とも出合えて、しかも地球環境にも優しい。そんな、人も地球もハッピーになれるポップアップストアは9月26(日)まで開催中。渋谷にお立ち寄りの際は、ぜひ。
[イベント詳細]
「Worn Wear ポップアップストア」
場所:パタゴニア東京・渋谷ストア
住所:東京都渋谷区神宮前6-16-8
期間:8月20日(金)~9月26日(日)
https://wornwear.patagonia.jp
佐藤ゆたか=動画編集