冬キャンプ最大のネックはいうまでもなく寒さだが、必要なギアを揃えて暖を確保さえすれば、そうハードルは高くない。
しかし、水の冷たさだけは如何ともし難い。
そこで「アイアンストーブ」の出番だ。

簡単に言うと、焚火台の炉熱を使って水を湯に変える湯沸かし器のようなもの。

使い方は簡単で、水の入ったタンクにアイアンストーブのホースをつなげると、炉の底に張り巡らされた配管を水が通っていく。こうして焚き火で温められたお湯が備え付けの蛇口から水道のように出てくるのだ。

サイフォンの原理を利用し、配管内で発生した蒸気圧を使ってお湯を温めると同時に、手元まで引き上げてくれる、という仕組みになっている。

温度は40~50度。キャンプサイトにひとつあれば、冷たい水で洗顔や手洗い、洗い物をしなければならない苦痛も避けられるし、洗い場まで往復する手間もなくなる。

寒い時季にはもちろんありがたい存在だが、それに限ったことではない。キャンプ場では洗いにくい油汚れの付いた食器も、湯があれば汚れが落ちやすくなるだろう。となれば、冬だけではなく1年を通して重宝すること間違いなしだ。
一般的な水タンクであれば問題なくホースにつなぐことができるので、容量が大きいほど、水を汲み行く頻度を減らすことも可能だ。

焚き火台は、煙となった可燃ガスに空気を当てて再燃焼させる二次燃焼構造となっており、煙が出にくく、美しい炎のゆらめきを生み出す。湯が出るだけでなく本来の焚き火台としてのスペックも非常に高い。

これを生み出したのは、今年始動したばかりのアウトドアブランド「アイアンショップ」。
オールハンドメイドでひとつひとつ手作りされたアイアンストーブは、使い込むほどにステンレスの風合いが増す逸品だ。車載時を考慮してボックス型にこだわり、置き場所を選ばないスリムな形状も魅力である。防災グッズとして、万が一に備えておくのも手だ。
ありそうでなかった画期的なキャンプギア。これがキャンプサイトでの新たな必需品となる日も、そう遠くないかもしれない。
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アイアンショップ
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外山壮一=文