夏から秋にかけて日本各地を回るアニソンイベント『ランティス祭』に、伝説のロック・バンド「LAZY」が参加している。現在はアニソンシンガーとして活躍する影山ヒロノブと、後にラウドネスを結成する高崎晃、樋口宗孝らが在籍したLAZYは、なぜ解散してしまったのか? 現在発売中の『クイック・ジャパン』vol.114で、影山は解散についての経緯を語っている。

「簡単に言えば、ハードロックを本気でやりたいメンバーと、そうじゃない音楽をやりたいメンバーに分かれたということです」

確かにその後のメンバーの活動を見れば、かたやアニソン、かたやヘヴィメタルバンドと、その音楽性は対極的なもの。影山は、そもそもハードロック自体が好きではなかったのだろうか?

「もちろん好きでしたよ。ただ、ハードロックにも色々なスタイルがあるじゃないですか。あの頃は、ちょうどTOTOとかジャーニーとかが出てきて、後はデヴィッド・フォスターみたいなAORの人気もあって、僕と井上くん(井上俊次・LAZYのキーボード)はどちらかと言うとああいう込み入ったアレンジのロックが好きだったんです。でも、高崎くんと樋口さんは、今だとメタリカとかに代表される、いわゆるヘヴィメタルをやりたかったんです」

そんな彼らがこの夏、アニソンレーベル「ランティス」のイベント『ランティス祭』で復活した。かつては音楽的嗜好の差により袂を分かった彼らだが、アニソンとロックの両方の世界を知る井上は、昨今の音楽シーンを、

「最近のバンドはみんなアニメの画と合いそうな音楽をやってる(笑)。それは彼らもアニメに刺激されているんだろうし、そういう音楽に刺激を受けているアニメのクリエーターも多いと思いますね」

と、分析しており、1980年代初期に分裂したLAZYは、明らかに時代を先取りしたバンドだったようだ。(文中敬称略)

◆『クイック・ジャパン』vol.114(2014年6月12日発売/太田出版)

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