「お笑い芸人になりたいとは思ってたんですけど、それ以上に共学に行きたかったんです。男子校でなんのいい思い出もないまま学生生活を終えて、社会に出て働くのが絶対に嫌だった。クラスの女子と甘酸っぱい思いをしたかった。でも、学力的に大学は行けないから、いろいろ探して、勉強できなくても入れる日本映画学校を見つけて、『ウッチャンナンチャン出てるんだ!』みたいな」
ある意味で健全な、そしてある意味で不純な動機でお笑い界に飛び込んだ升野。彼が披露するネタは、決して女子ウケが良さそうなものではないが、この点についてはどう思っているのだろう?
「そこは格好良く映るのとはまたちょっと違うじゃないですか。仮に若い女性にそんなにハマってなくても、他の人と明らかに異質なことをやって評価されたり、尊敬されたり、同業者から認められてたら格好良く見えるし、むしろそれが理想かもしれないですね。同性に支持されたり、業界や同業者から認められる玄人受けの格好良さは、女性には絶対に伝わると思うので」
このように女性に拘る升野だが、若い頃にグラビアアイドルと共演した際には、「ネタを披露してめちゃくちゃに舐められる」という屈辱も経験し、「若手のグラビアが、若手芸人を下に見る」構図には疑問を抱いているのだとか。今でもテレビでそんなシーンを見かけると、
「お前が今生かされているのは、今、芸人さんが上手くイジってくれたからだぞ」
「自分の手柄だと思うなよ」
などと思っているそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.121(2015年8月12日発売/太田出版)