「最初はクラウディ・スカイ(学生時代に組んだロックバンド)だけど、メジャーで活動したのは8か月。その後ソロでデビューするまでは、沢田研二さんとか山下久美子とかに曲を書く仕事を貰ってた。そのうちに作詞家の銀色夏生と出会って、自分の作品を準備しながら他の人の曲を書いて」
『おまえにチェックイン』(沢田研二)や『1/2の神話』(中森明菜)といったヒット曲を手掛けたものの、「早く自分のソロアルバムを作りたいとずっと思ってた」という大澤。そんな彼の名を一気に高めたのが、1984年発表の『そして僕は途方に暮れる』だが、この作品はどのように生まれたのだろう?
「ソロになってのイメージは、当初は戸惑いもあった。ちょっと尖ったイメージ、クレイジーな感じとクールな感じと。僕はクラウディ・スカイをやってたし、泥臭いリズム&ブルースも好きだし、真反対だった。
でも自分の声質とか考えると、クールな歌詞とか感情を抑えた歌い方とかも合うんだと、作品が出来上がっていくうちに気づいた。すごいポップな音楽を自分なりに作りたいと思ってた。プリンスとかマイケル・ジャクソンとかの影響もあったね」
そんな大澤の活動も35周年。数年前からの座右の銘は、「1度きりの人生をいかに楽しく過ごすか」だそうだ。
「親父が亡くなったというのもあって、悲しいことがあると、人間ってそっちにもっていかれるじゃないですか。そこにばっかりいてもしょうがない。
今年10月には還暦を迎えるという大澤だが、まだまだ質の高い大人の名曲が期待できそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.130(2017年2月24日発売/太田出版)