「僕らはほんと取り憑かれたように『M-1』に向けてやってきて、楽しかったですけど、しんどかった。優勝してからやっとです、ちょっとふざけたネタもできるようになったのは。『M-1』の予選に固有名詞は向いてなかったり、有名人の名前を使って笑いをとるっていうのは、決勝はいいですけど、準決勝までだと落とされる傾向にある。そういうことから解放されるのが『M-1』優勝の特権。好きなネタをやれる『免許』をもらえた感じなんですよ」
確かに「M-1王者」という看板があれば、少々羽目を外しても、「最後には笑わせてくれるのだろう」という安心感が生まれる。粗品とせいやは、『M-1』という大会を非常に緻密に分析し、その甲斐もあって、彼らは見事に優勝を果たしたが、M-1ではこれまでたびたび採点が問題になり、昨年の大会でも大きな騒動になった。これについて粗品はどう考えているのか?
「俺は逆に点数をつけてほしかったんです。自分が一番オモロいと思ってたんで、俺を一番オモロいって言ってくれんの誰や、って探してた。『M-1』で松本さんが審査員をやってくれてるっていうのは、若手一同めちゃくちゃありがたいんですよ。あれで優勝さえすれば、一番オモロいって言われるわけだから。どいつがすごくて、どいつが微妙なんか。その取り締まりは、やっぱりお笑いの神にやってほしいです」
彼らがM-1で優勝できたのは、もちろんネタが面白かったからだが、その背景には執拗なまでの分析の力もあったよう。
◆『クイック・ジャパン』vol.145(2019年8月24日発売/太田出版)

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