「僕自身がかつて中高時代に地元のビデオ屋で、ホドロフスキーなどのカルト的なもの、価値観が変わるトラウマのような映画に出会ってきて。ある意味『こんなに自由なのか!』と映画表現の底知れぬ可能性を感じてきたので。
(中略)永野さんのことを。あの人の“ソース”というか、脳内を正しく映像化できたらそれはもう無限に、いまだかつてないなにかを遠い国の人たちに与えられるんじゃないかと。国内はわからないですけど、どこか遠い国の誰かにクリティカルヒットするんじゃないかという確信を持てたので、制作にいたったというのが正直なところです」
園子温監督や三池崇史監督の作品とともに海外の映画祭に足を運んだ際、作品を見て熱狂する観客を見て、心を揺さぶられたという斎藤。そこには日本に対するある種の失望もあるようだ。
「日本の基準を信用していない、というのも強くあります。メインストリームにずっといなかった人間だからそう思えなかった、というのもあるんでしょうけど。ランキングを主体とする残酷性を孕んだ消費サイクルの早さみたいなこともあるし。“多数派”みたいなものに疑念を抱き続けてきたような部分があります」
シュタイナースクールで、少し変わった角度の教育を受けたことも影響していると語る斎藤。マイノリティのエッジを失わないことが、彼の1つの目標だそうだ。
「いつも、知らない目線でいたいです。アウェーでいる感覚をベースにする、ということ。ホームにすることで生まれるものもあるのかもしれないんですが僕はそれだと甘えるだけで。人間に発酵と腐敗があるとしたら、ホームを持つことで僕は腐敗に向かってしまう。発酵していくにはホームを手放し続け、アウェーの環境にいつづけないといけないなと思うので。誰かの才能とコラボレーションさせてもらいながら、どんどんアウェーに身を投じ、恥をかき続けるだろうけども肩書きを増やすことが、今、僕にとっては成功だと思っているんでしょうね。それは散漫ともとらえられるでしょう
けれど、役者として“代わりがきく”ことの恐ろしさとの自分なりの闘い方なんだと思います」
人は安住を求めるものだが、斎藤にはそういった場所は不要なよう。これまでも数々の驚きを与えてきてくれた彼は、これからも我々を驚かせてくれそうだ。
◆『クイック・ジャパン』vol.145(2019年8月24日発売/太田出版)
![【Amazon.co.jp限定】温泉シャーク【Blu-ray】「湯呑」付コレクション(オリジナル特典:ロッカーキー風アクリルキーホルダー 付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/5105bIK3vVL._SL500_.jpg)
![オッペンハイマー 4K Ultra HD+ブルーレイ(ボーナスブルーレイ付)[4K ULTRA HD + Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51H-qygmyaL._SL500_.jpg)

![【メーカー特典あり】言えない秘密 Blu-rayコレクターズ・エディション(2枚組)(A4サイズクリアファイル付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/41j553zPZGL._SL500_.jpg)
![男はつらいよ 4K ULTRA HD Blu-ray (数量限定生産) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51KXWYlFAUL._SL500_.jpg)





