金星は、地球に最も近い惑星で、内部構造もほぼ同じだと言われています。現在金星では、日本の金星探査機「あかつき」が運用中ですが、2021年6月にNASA(アメリカ航空宇宙局)は、金星探査機2機を2028~30年に打ち上げることを発表し、これが実現すれば、約35年ぶりのアメリカによる金星探査への挑戦となります。
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ここでは、その一部を特別に公開します。
今回は、金星がどんな惑星か学びましょう。

究極の温室効果が生む灼熱地獄
金星と地球は、大きさも重力も構造もよく似ており、双子の惑星ともいわれます。しかし、金星の地表温度は460℃にもなり、とても生物が住める環境ではありません。なぜこれほど高温になるのでしょう?
金星の上空約45~70㎞には、濃い硫酸の雲があり、惑星を覆っています。太陽から注ぐ熱は、この雲にさえぎられ、わずかしか地表に届きません。ところが、金星の大気の96%を占める二酸化炭素(CO₂)には、「温室効果」と呼ばれる働きがあり、わずかな太陽熱を閉じこめて、気温を上昇させてしまいます。地球もいま、CO₂の増加によって温暖化が進んでいますが、地球の大気に含まれるCO₂は、わずか0.04%。それに比べると、金星のCO₂は桁違いに多く、温室効果がいかに強いかがわかるでしょう。
地上50㎞の空中都市
過酷な環境にある金星には、生命は存在しないと考えられてきました。2020年、NASAは金星の雲のなかに、ホスフィンという物質を発見。ホスフィンは、生命活動によって生じるため、何らかの生命が存在する可能性があるともいわれています。
実は、過酷な環境にあるのは地表でのことで、上空約50㎞の雲の中は、気温約20℃、気圧も地球と同じ1気圧です。
下のイラストは、その想像図です。灼熱の地表は利用できないため、飛行船を大気圏に送りこんで浮遊させ、人々は空中で暮らすことになると予想されています。

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Credit: インフォビジュアル研究所