キリスト教における最初の人間として語られるアダムとイブ、大洪水から脱出したノアの方舟…これらはすべて旧約聖書の「創世記」に記されたエピソードです。では、新約聖書にはどんなことが書かれているのでしょう。
2023年9月に発売された『図解でわかる 14歳から知るキリスト教』(山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著)では、世界最大の宗教・キリスト教を知るための情報が満載です。ここでは、その一部を抜粋し、紹介していきます。(全6回)

「旧い契約」と「新しい契約」
キリスト教の教えが記された教典である聖書には旧約聖書と新約聖書の2種類があります。旧約聖書や新約聖書の「約」とは神と人との間の契約のこと。旧約は古代イスラエル民族の「旧い契約」、新約はイエス・キリストによって改められた「新しい契約」を意味しています。キリスト教は神と結んだ契約、つまり神との約束ごとを人が守ることで救いが得られるという考えをもとにした宗教だからです。

神の手でこの世がつくられた天地創造の話から始まり、古代イスラエルの民たちと神との関わりが描かれる旧約聖書。そこでは救世主(メシア)がいつか遣わされることが伝えられています。そして、このメシアとして生まれてきたイエス・キリストの生涯や教えが語られるのが新約聖書です。
旧約聖書も新約聖書もひとりの作者が著したものではなく、複数の人々による文書を集めて構成されています。じつはそれらはオリジナルの原稿があるわけではなく、手書きの写本として発見された数々の書を長い年月をかけて現在あるような形にまとめ上げたものが聖書なのです。

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本書では、キリスト教の成り立ちから、宗教と戦争の関係、そこにこめられた各宗派の想いや歴史までを分かりやすくまとめています。
Credit: 山折哲雄・監修、インフォビジュアル研究所・著