沖縄本島北部地方などが記録的な大雨に見舞われた。土砂崩れや河川の氾濫が相次ぎ、建物が全壊する被害も発生している。
大気が不安定な状態はきょうも続く予報だ。引き続き警戒を怠らないでほしい。
 本島北部では9日未明から早朝にかけて断続的に「線状降水帯」が発生した。
 積乱雲が次々と生まれ、帯状に連なって猛烈な雨を降らせ続ける。気象庁は同日午前0時からの3時間で、名護、国頭、東、大宜味の4市村に計12回の「記録的短時間大雨情報」を発表した。
 東村では1時間に101・5ミリ、午後4時までの24時間で486・5ミリの降水量となり、いずれも観測史上最大を記録した。
 各所で浸水被害が発生したほか道路陥没による通行止めや、民宿の建物の一部が崩落するなどの被害が出ている。
 10日夜現在、人的被害の報告はない。
 しかし「胸の辺りまで水に漬かりながら避難した」「道路の冠水で車から脱出できず、水が引くまで車の上にいた」など数々の証言から危機的な状況だったことがうかがえる。
 大宜味村では浄水場が浸水し、広い地域で断水が発生。復旧の見通しは立っていない。
 県道14号は倒木や道路陥没により、名護市源河-東村有銘の約8キロで全面通行止めになるなど、今後の住民生活への影響も懸念される。

 県や自治体は二次災害に注意しながら、被害状況の把握と復旧を急ぐべきだ。
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 4市村では、翌10日早朝にも計6回の記録的短時間大雨情報が出された。
 国頭村の比地川では氾濫が確認された。
 民家1階の天井部分まで茶色の濁流が迫る映像は衝撃的だ。
 水は次第に引いているというものの、午後4時半の時点で比地地区では、少なくとも床上・床下浸水が30件確認されている。
 断続的な大雨で付近の地盤が緩んでいる可能性がある。
 今後は降雨による土砂災害が起きやすくなる。ハザードマップなどで自宅や周辺の危険度をいま一度確認してほしい。
 9日から10日にかけては鹿児島県・奄美でも線状降水帯が発生した。気象庁は9日未明、与論町に大雨特別警報を発表。11月の発表は2013年の運用開始後初めてのことだ。
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 各地で線状降水帯の発生が相次いでいる。

 気象庁は今年5月、線状降水帯が発生する可能性を12~6時間前に伝える「半日前予測」を県単位で発表する運用を始めた。
 ただ今回、予測は出されなかった。現在の的中率は4分の1ほどといい、予測が出ない場合もあるという。さらに精度を高める努力が求められる。
 一方、気象情報やハザードマップなどを組み合わせ一人一人が的確な対応をとることは今も可能だ。
 どこでも起こりうると認識して、平時から備えておきたい。
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