講演後、報道陣の取材に応じる松永拓也さん(左)と上原義教さん=25日午後4時13分、沖縄県西原町
松永さんは妻と娘を失った悲しみを語りながらも、「家族にみとられることもなく、人生の最期を迎えたことは無念だったと思う」と受刑者への複雑な心境を明かした。
面会した時、世の中の高齢者に伝えたいことはあるかと聞いたところ、受刑者は「免許の返納を早くしてほしい」と話していたという。
講演では、自身の経験を踏まえ、犯罪や事故の被害者が「前を向いて」「早く忘れるべきだ」などと声をかけられるとつらく、パニックに陥りやすいとも説明。事故から1週間以上たった後、友人たちが代わる代わる自宅を訪れて松永さんの話を聞いてくれたり、散歩に付き合ってくれたりして、寄り添ってくれたことがうれしかったと振り返った。
講演後、報道陣の取材に応じた松永さんは「一番大事なのは、同じような過ちや犠牲をつくらないよう、社会がどう変わっていくかだ。彼(受刑者)の言葉を糧にして、活動に生かしたい」と語った。
松永さんの妻の父で浦添市在住の上原義教さん(67)は、受刑者が亡くなったことを踏まえて「複雑でつらく、悲しい気持ち」と吐露。その上で「娘と孫を今でも返してほしいが、加害者の家族も大変な思いをされて過ごしてきたと思う。安らかに過ごしてもらえれば」と話した。
講演は11月25日~12月1日までの犯罪被害者週間に合わせて県や県警、沖縄被害者支援ゆいセンターなどが主催した。