全国で水道管の老朽化が問題になる中、宜野座村でも法定耐用年数40年を超えた水道管の更新が大きな課題になっている。昨年12月に4選した當眞淳村長は、水道管の更新加速を公約に掲げ、今年4月までに「管路耐震化・更新計画」を改定し、水道インフラの整備を進める。
完了までに70年
村が管理する水道管の総延長は約88キロ。そのうち約4分の1に当たる約20キロは40年以上前に整備されたもので、すでに耐用年数を超えている。
村は2015年度までに状況調査を踏まえた「管路耐震化・更新計画」を策定。優先的に更新が必要な箇所を特定して、順次、耐震適合性のある水道管への取り替えを進めている。
だが、予算確保が難航して、年間の更新距離は約300メートルにとどまる。このペースで進めると更新完了までに70年以上かかる計算だ。
目標は年間1キロ
村上下水道課の仲間出課長は「年間少なくとも1キロ以上の更新が必要だ。安定した水供給を維持するためには工事を加速させなければならない」と危機感を募らせる。
現時点で老朽化による破損や漏水の発生件数は年間10件程度だが、村は今後さらに増加すると予測している。
最大の課題は更新費用の確保だ。10年前に策定した水道管路更新計画では工事費を約25億円と見積もっていた。
村は国や県の補助メニューの活用を模索している。注目しているのが、基地周辺の生活環境整備などを目的とした防衛省の「基地周辺対策事業」。この事業を水道管路更新事業に適用できれば、財源確保の大きな助けになる。
財源確保に全力
一方で、費用を確保し、目標通り年間1キロの更新が可能となれば、工事範囲が単純計算でこれまでの3倍以上に増えることになり、その間の村民生活に影響が出ることが避けられない。
水道管更新に伴う道路工事や一時的な水供給の制限の他、更新に伴う水道料金の引き上げなども想定される。
村は、住民説明会や広報活動を通じて工事の必要性や進捗(しんちょく)状況を丁寧に説明し、住民の理解と協力を求めていく考えだ。
宜野座村の水道事業は、村が直接管理・運営する。現在の水道インフラの状態を再度、正確に把握し、効率的かつ持続可能な更新計画を立案・実行するのも村の役割だ。
當眞村長は「可能な限り着工時期を前倒しするため、財源確保に全力を注ぐ。水道管破損による漏水などの問題が増える前に速やかに管路更新を進める」と力を込めた。