発表によると昨年9月、西表島西部のうなり崎公園で和智さんが娘のかの子ちゃんと虫取りをしていた際、かの子ちゃんが不思議な模様のある二つの繭が植物の葉にぶら下がっているのを見つけた。
和智さんが研究室に持ち帰って、後日羽化した生物の同定をヒメバチに詳しい北海道大学総合博物館の小西和彦資料部研究員に依頼したところ、ホウネンタワラチビアメバチであることが判明した。
この寄生バチはオーストラリアやインド、東南アジア、中国といった海外や国内に広く分布しているが、県内では多良間島のみで確認されていた。主に稲の害虫であるフタオビコヤガの幼虫に寄生するが、これまでフタオビコヤガは西表島に確認されていない。何のガに寄生して生息していたかなど、さらに解明の必要があるという。
和智さんは「研究者としては娘に見つけられてしまったのは悔しいが、親子の遊びが記録に残ったのはうれしい」と笑顔。「日本全国どこでも身近な環境に未発見の昆虫が数多く存在している。身近な動植物に対する関心が高まってくれれば」と話した。
この研究結果は昨年12月30日付で日本昆虫分類学会が発行する学術誌「Japanese Journal of Systematic Entomology」に掲載された。
