南三陸のおいしいものたちが、これでもかと迫ってきて、おなかの虫は泣きっぱなし。
 コロナ禍のリモートワークにこれ幸いと、大好きな釣りと格安物件に誘われるように、東京からやってきた男を中心に、悲喜こもごものドタバタ劇が始まる。
震災、コロナ、過疎問題と幾重にも重なる社会問題を背景にしながらも、市井の人々が日々の喜びを大切に生きていく様が温かく描かれる。
 喪失や痛みは何かをもって代えられるものではないが、新たに愛する者を得たからといって、過去を忘れる必要もない。「愛する者が増えた」と考えれば、それもまたにぎやかでいい。
 景色も人の優しさも全てが心を満たしてくれる。腹の虫は泣きやまないが、南三陸を旅した折の、ホヤの驚きのおいしさを思い出しながら再訪できることを祈った。
(スターシアターズ・榮慶子)
◇シネマQ、ライカムで上映中
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