本当にこんな所に食堂があるのだろうか?
日中でも薄暗い雑居ビルの階段を恐る恐る上がると、これまでの雰囲気とは一変して和やかなムードの店内に吸い込まれる。
隠れ家的な食堂は2020年7月にオープン。
添加物を控え、手作りにこだわった料理は沖縄そばやカレーなど全35品。人気メニューは南蛮酢をしみ込ませ、タルタルソースがたっぷりのったボリューム満点の「チキン南蛮定食」(900円)。欲張りな客にはうれしいミニカツ丼と半そば(900円)もリピーターが多い。
ロック好きの実篤さんは、1999年にインディーズバンドとしてCDデビューした実力派。店内にはギターやドラムが並び、夜は食堂をライブ会場としても提供している。
30代で食堂経営に興味を持ち、県内の飲食店を転々としながら腕を磨いた。新型コロナウイルスの感染が拡大する中、独立に向け宜野湾市内で店舗を探していた時、雑居ビル4階の一角にあった現在の物件と出合った。
ビル周辺に競合が少ないため集客効果が期待でき、楽器も演奏できるという好条件に引かれて即決。開店準備を進める中、店名を決めるのをすっかり忘れていたという。周囲には「こんな所に食堂ができました」と“宣伝”していたことから、そのまま「こんなところに食堂」に決まった。
客に満足してほしいとの願いから料理の量は多めに設定。だが、米や食料品の高騰を受けこれまで3度の値上げを強いられた。それでも客足は途絶えず、常連客も増え続ける。実篤さんは「店に上がるまで入りづらいけど、皆さんに愛される店にしたい」と笑顔で語った。(中部報道部・砂川孫優)=金曜日掲載
【お店データ】営業は午前11時半~午後2時半、午後6時~同9時。いずれも完売次第終了。火、金曜日定休。駐車場あり。電話098(917)4678
