7月に開業予定の沖縄県今帰仁村のテーマパーク「ジャングリア沖縄」を管轄する本部町・今帰仁村消防組合が、救急搬送の約9割で、パークへの主要アクセス道路となる県道84号と同72号を使用していることが分かった。両線は本部半島の中央を通り、名護市内の病院への最短ルートになる。
パーク開業後に渋滞が生じた場合、救急搬送に遅れが出る恐れがある。消防職員は「重大な事案だと助かる命も助からなくなる」と危機感を募らせる。(北部報道部・松田駿太)
 同消防組合によると、2023年の救急搬送は1816件。搬送先は名護市の北部地区医師会病院1022件と、県立北部病院736件で96・8%を占める。
 救急車の拠点は本部消防署と今帰仁分遣所の2カ所。搬送しながら両病院と受け入れを調整するため、どちらにも向かいやすい県道84号「名護本部線」を使う。今帰仁村内からは、県道72号「名護運天線」を通って名護本部線に接続する。どちらもジャングリア開業後に混雑が予想される。
 両線とも片道1車線で幅が狭い。渋滞時、緊急車両のスペースを確保するのが難しい。
 迂回(うかい)経路として名護市羽地地域を通る国道505号や本部町の海岸線を通る国道449号などがあるが、名護本部線と比べて10~15分ほど到着が遅れるという。「県道を避け、海岸沿いの国道を使えば、搬送時間が倍になることも想定される」(関係者)
 救急車は予備を含む3台。
搬送後、戻る際には緊急走行できず、渋滞に巻き込まれれば本部・今帰仁エリアに救急車の空白時間が長くなる。
 知念清治本部消防署長はジャングリアを運営するジャパンエンターテイメント(名護市)と連携を深め、バスやレンタカーの進入経路を把握し、救急搬送のルート選定などを急ぐと説明。国が進める「名護東道路」の延伸の早期実現を求めた上で「オープン後も地域住民に影響が出ないように努力する」と力を込めた。
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ジャングリア開業で救急ルート渋滞の恐れ 片側1車線、搬送の9割で使用 「助からなくなる」と危機感
ジャングリアの位置と本部町今帰仁村消防組合の緊急搬送ルート
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