バスケットボールの第100回天皇杯全日本選手権大会決勝で、琉球ゴールデンキングスがアルバルク東京を破り初優勝を果たした。
バスケ天皇杯で県勢の優勝は初めて。去年おととしと2年連続で準優勝だったキングスが「三度目の正直」で栄冠を手にした。
また一つ県バスケ界に歴史が刻まれた。チームの偉業に心から敬意を表したい。
試合の勝敗を分けたのは、ルーズボールやリバウンドからセカンドチャンスをつくるキングスらしい粘りのプレーだ。古参のジャック・クーリー選手や2年目のアレックス・カーク選手が終始ゴール下を制した。
一時逆転されても、チームメーカーの岸本隆一選手がマンツーマン守備からターンオーバーを決めるなど再び流れを呼び込んだ。
今月に入り東アジアスーパーリーグ準決勝や3位決定戦、Bリーグ戦と3連敗を喫しチームの状態は決して良くなかった。
そうした中でも13勝13敗の互角の対戦相手に競り勝った背景には選手層の厚さがある。父親が県出身の平良彰吾選手や大会ベスト5に選出された脇真大選手など若手の台頭も目立つ。
全国から100以上のチームが出場し、トーナメント方式の同大会で勝ち抜くには総合力が求められる。bjリーグ時代からキングスを度々優勝に導いてきた桶谷大ヘッドコーチの存在も大きい。
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県勢が初めて天皇杯に出場を果たしたのは1993年のことだ。
県大会を勝ち抜いた後、九州ブロックで優勝しなければ本戦に出場できなかった時代。群雄割拠の中でも県勢は何度か本戦への切符を手にしたものの、全国の厚い壁に初戦突破もままならなかった。
2006年、キングスが誕生。bjリーグで4度の優勝を果たすなど着実に力を付けてきた。ただ当時はリーグが二つに分かれており、天皇杯には挑戦すらできなかった経緯がある。
出場がかなったのはBリーグ発足後。第93回大会の初出場からトーナメントを上り続けてきた。
今や名実ともに国内屈指の強豪となったキングスにとっても悲願達成となった。
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優勝を確信した瞬間、観客は総立ちとなり、会場は歓声と選手をたたえる拍手の音に包まれた。県内から応援に駆け付けた人、県外に暮らす人など県出身のファンが多いのもキングスの特徴だ。
同大会では前回、決勝で大敗を喫した苦い記憶がある。そうした中でも勝利を信じて応援し続けたファンの存在が節目の優勝を呼び込んだことは間違いない。
今季のリーグ戦は続く。Bリーグになって以降2冠を達成したチームはまだなくキングスへの期待は膨らむばかりだ。
感動をありがとう。