【読谷】読谷村の楚辺自治会(上地徹会長)は18日、同公民館で「産業祭」を開いた。地域住民の触れ合いと伝統文化の継承が目的。
恒例の楚辺産業部による伝統料理「チー汁」の販売があり、多くの来場者でにぎわった。
 チー汁は楚辺地域に古くから伝わる郷土料理で、豚の血に塩を加えて固めたものを豚肉やみそと共に煮込んで作る栄養豊かな一品。かつては日常的に食卓に上る料理だったが、近年では若い世代の関心が薄れ、家庭で作る機会は少なくなっている。
 レシピも存在せず、長年にわたり先輩たちの経験と口伝えによって受け継がれてきたという。
 今年のチー汁作りは、これまで指導役を担っていた先輩の手を借りずに初めて産業部のメンバーのみで挑んだ。「このままでは地域の食文化の伝統が失われてしまう」という危機感から上地会長が、産業部長の池原清光さん(66)らと協議。次の世代へつなぐために60歳の比嘉朗さんをはじめとする50~60代のメンバーに声をかけた。
 シンメーナービ(大鍋)を使って大量に調理したチー汁は「懐かしい味」「この味を守ってほしい」と来場者に好評だった。調理に参加したメンバーからは「コンビニや外食などで簡単に食事を済ませられる時代。こういった伝統料理に触れる機会が若者には必要だ」「作り方を教わるだけでなく、昔の生活や地域の話を共有できるのがうれしい」との声が上がり、世代を超えた交流の場として産業祭の意義を再認識していた。
レシピなし、口伝えだけ… 読谷村の伝統料理「チー汁」次世代へ...の画像はこちら >>
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