「賛成9票、反対10票。発議第1号は否決されました」。
第三者委員会からセクハラとパワハラを認定された古謝景春南城市長の進退を問う不信任決議案。与党が多数を占める市議会は2日、議案を否決し、「市長継続」を容認した形だ。「人権意識に欠ける」「素晴らしい判断だ」-。傍聴に駆け付けた市民からは正反対の声が上がった。市民の血税約600万円で導かれた第三者委の「市長辞職」の提言が宙に浮いている。(南部報道部・新崎哲史)
 不信任決議への賛成、反対討論が交互に行われる中、古謝市長は緊張した表情を崩さず、時折、肩で息をし、宙を見つめた。野党議員が「(与党議員が)判断に迷う理由は被害者の声を聞いていないから」と主張した時は、笑みを浮かべ、小さく何かをつぶやいた。
 議長を含む議員19人が投票し、演壇で開票作業が始まると投票用紙を凝視。否決の宣告後は表情を変えずに議場を去った。
 古謝市長のセクハラ疑惑を受けて設立された「ハートのまち南城 人権ファーストの会」の市民らは決議後、「与党は市長のハラスメントを否定する根拠を示していない」などと口々に不満を訴えた。
 70代女性は「与党は被害者の声を聞かず、市長の言葉だけで被害者や第三者委員会を否定した。これでは職員が安心して働けない」と指摘した。
同会は5日朝、市役所前に立ち「市長辞職」を訴える予定だ。
 一方、市長を支持する「すばらしい南城市を支える市民の会」のメンバーは否決後、拍手で意思表示した。ある男性(71)は「旧4町村が合併した南城はみんなが親戚のようなもの。そこで頑張る市長を議員がちむぐくる(真心)で支えてくれた」と感謝。別の高齢男性も「古謝さんは南城の宝。敵が陥れようとしている」と語った。
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