沖縄は23日、戦後80年の「慰霊の日」を迎えた。県内各地で20万人を超える沖縄戦犠牲者を悼む催しが営まれ、島全体が鎮魂の祈りに包まれた。
戦没者の名が刻まれた糸満市摩文仁の県平和祈念公園内の「平和の礎」には早朝から多くの戦争体験者や遺族が訪れた。今なお世界で相次ぐ武力衝突に胸を痛め、平和への思いを新たにしていた。

 

 同公園では午前11時50分から、沖縄全戦没者追悼式(主催・県、県議会)を開催。玉城デニー知事が平和宣言を読み上げる他、豊見城市立伊良波小学校6年の城間一歩輝いぶきさんが平和の詩「おばあちゃんの歌」を朗読する。正午の時報に合わせ、参列者が1分間の黙とうをささげる。
 国連軍縮担当上級代表の中満泉事務次長、2024年ノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(被団協)の田中重光代表委員も初めて出席。平和の礎に刻銘されている国や地域から県内に留学している大学、大学院生らも献花し、式の時間は例年より約30分間延長した。
 一方、戦前生まれの80歳以上は県人口の1割を切り「体験者ゼロの時代」が目前に迫る。記憶の風化や次世代への継承が課題となる中、自民党の西田昌司参院議員が「ひめゆりの塔」の展示説明を「歴史の書き換え」と発言。歴史的事実を意図的に否定するかのような言説が後を絶たない。
 米軍基地が集中し、米軍から派生する事件・事故が繰り返されている。過重な負担は残ったままだ。
加えて、南西諸島への自衛隊配備の強化も進み、懸念の声が上がっている。(社会部・下里潤)
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