[戦後80年] 
 沖縄タイムスとNHK沖縄放送局は3日午後6時から、合同朗読会「『鉄の暴風』を読む」を那覇市久茂地のタイムスホールで開く。出演する記者、アナウンサーらは沖縄戦当時の状況や背景を学び、朗読の練習に励んできた。
「体験者の思いに想像力を膨らませ、言葉を紡ぎたい」。それぞれの思いを胸に、本番に臨む。
ありのまま事実届ける NHK義村アナ・宮城キャスター
 NHKの義村聡志アナウンサーは京都府出身で、2023年に沖縄放送局に着任した。沖縄戦取材で、防衛隊として斬り込みを強いられた男性が「生き残ったのは運」と語ったのが頭から離れない。目の前で元気な男性が壮絶な体験を語る姿に向き合い、「沖縄戦は遠い昔の歴史ではなく、生々しく今にもつながっている」と感じた。
 アナウンサーという伝え手として、何ができるのかを日々考える。戦後80年の今年、「改めて、残酷な事実だが、事実を事実としてありのまま届けたい」と力を込める。

「鉄の暴風」朗読についての思いを語るNHKの宮城杏里キャスター=27日、那覇市のNHK沖縄放送局

 沖縄市出身の宮城杏里キャスターは、祖父母やおじといった身近な人から戦争体験を聞き、「初めて、戦争が憎いという感情が沸いた」という。沖縄戦で日本軍による組織的戦闘が終わった後が「本当の戦争」と振り返る沖縄戦体験者も少なくない。「事実を知り、継承したい」と強い思いを抱いた。
 朗読会では、野戦病院解散後、南部へ逃げたひめゆり学徒隊が直面した現実を伝える。「証言や事実の背景にある体験者の思いに想像力を膨らませ、言葉をつむぐ」と思いを語った。


「鉄の暴風」朗読についての思いを語るNHKの義村聡志さんアナウンサー=27日、那覇市のNHK沖縄放送局

戦時の新聞記者を想像 タイムス東江記者・比嘉記者

沖縄戦当時の留魂壕・新聞社壕の前で沖縄タイムス出版コンテンツ部・城間有副部長(右)の話を聞く比嘉海人記者(中央)、東江郁香記者=18日、那覇市・首里城公園

 沖縄タイムスの東江郁香記者、比嘉海人記者は18日、那覇市の首里城公園内にある留魂壕・新聞社壕を訪れた。沖縄戦当時、国の言論統制で三つの新聞社が統合した「沖縄新報」の記者たちが空襲で社屋を焼け出された後、新聞制作を続けた壕で、現在は立ち入りが禁止されている。 
 壕の前で本社出版コンテンツ部の城間有副部長は「80年前の先輩記者たちはここに活字台と印刷機を持ち込み、激しい砲撃の中で新聞を作った」と説明。「戦意高揚のため実際の戦況を覆い隠し、事実でない記事を書いた。戦後、その反省から出発し、『鉄の暴風』を出版した沖縄タイムスの原点。当時の新聞人の心の葛藤を想像して朗読してほしい」と2人の記者を激励した。
 東江記者は「当時の記者がどんな思いで記事を書いたのか、聞く人が想像できるような朗読をしたい。二度とこういうことを起こさないよう、思いを込めて読む」と話した。
 比嘉記者は「伝えることの使命感が恐怖を上回っていたのかもしれない。自分だったらどうだろうかと考えた。生きるのに必死だった当時の人々を思いながら、緊張感を持って朗読したい」と決意を込めた。
観覧は事前申し込み必要
 朗読会は観覧無料で、事前申し込みが必要。
沖縄タイムスホームページの申し込みフォームはこちらから。朗読会は公開収録され、後日、NHKのラジオ番組などで放送される。
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