【石垣】沖縄県八重山農林水産振興センター管理指導班は11日、石垣市の石垣漁港に7年間違法係留されていた放置船のプレジャーボートが沈没し、油が流出しているのを確認した。汚濁防止膜を設置して流出拡大を防いでいる。
一方、周辺漁業者は放置船の撤去を県に求めていたが、対応がなされなかったと指摘。同班は「船は個人の財産。行政判断で処分しづらい」と頭を悩ませる。
 同班によると、11日午前8時前に石垣海上保安部から情報提供を受けて放置船の沈没を確認。船内から油が流出し、石垣海保と八重山漁協の協力で汚濁防止膜と吸着マットを設置した。前日の大雨の影響で沈没した可能性があるという。
 場所は石垣漁港の八重山漁協造船所近く。周辺にはマリンレジャーの船などが並ぶ。放置船は2018年から違法係留されており、同班は所有者に撤去を求めているが、連絡が取れていないという。
 放置船は沈没や油漏れで周辺環境の汚染につながる他、災害時に二次災害を引き起こすリスクがある。所有者が処分するのが原則だが、自治体が行政代執行法などに基づいて処分するケースが全国で相次いでいる。
 一夜明けた12日、現場を訪れた漁業者の一人は「もっと早く撤去していればこんなことにならなかった」と話した。

 石垣漁港には違法係留や陸揚げされた船を含む放置船が44隻ある。同班は今後の対応について行政処分も視野に入れ「継続して対応を協議しており、近く担当弁護士を含めて手続きを進める」と答えた。(八重山支局・砂川孫優)
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