有機フッ素化合物PFAS(ピーファス)を除去するため北谷浄水場に導入された高機能粒状活性炭の更新に、国の補助事業が適用できないことが明らかになった。
 県企業局は2021~23年度にPFAS除去効果が高いとして導入。
費用16億円のうち3分の2は防衛省の補助を充て、残り3分の1を県が負担した。
 ただ、ランニングコストは原則自治体の負担となる。26年度以降に予定される更新費用は補助対象にならないという。
 そもそも汚染源は水源地周辺の米軍基地である可能性が高い。除去費用を県が賄うのは筋が通らない。
 だが、実際にはこうしたPFAS対策費の一部を県民が負担している。
 企業局は物価高高騰や施設更新コストのほか、PFAS対策を理由として24年から水を提供する30市町村向けの「卸値」を段階的に引き上げている。
 同年10月の引き上げでは多くの自治体が住民生活への影響を考慮し水道料金への転嫁を見送る方針を示した。
 そうした中、来年4月に第2段階の引き上げが控えるのを受け水道料金の値上げに踏み切る自治体が増えている。
 電気料など供給コストが膨らみ、企業局の引き上げ分を吸収できなくなったことが背景にある。
 このまま高機能粒状活性炭の更新費用を全額県が負担することになれば、いずれ、さらなる県民負担につながりかねない。
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 北谷浄水場の汚染が公表されたのは16年。
水源である沖縄本島中部の比謝川や天願川では高濃度が検出された。
 企業局は現在こうした水源からの取水を停止・抑制。代わりに高額な電気料金を要する海水淡水化センターを稼働させ、水量を補う。こうしたPFAS対策費は年約10億円に上る。
 基地由来の汚染は住民の健康や生活を脅かしかねない。ドイツでは地域の訴えに応じて、米軍がPFAS除去作業に取り組んでいる。
 背景にはNATO軍地位協定の補足協定に「国内法の原則適用」が明記されていることがある。「汚染者負担」の原則を米軍も受け入れている。
 一方、県内では米軍が拒否。県の調査でことし2月、米軍普天間飛行場周辺のPFAS汚染は、普天間が汚染源との結論が出た。
 それにもかかわらず、いまだに基地内の立ち入り調査も実現していない。
 一体この差は何なのか。

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 PFASは体内に蓄積される。発がん性が指摘されているだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めることも分かっている。
 自然界でほぼ分解されないことから土壌汚染も懸念される。汚染源の確定や除去作業など対策は急務だ。
 基地は日米安保条約に基づき置かれている。米軍がやらないなら、国が対策費を全額負担するのが当然だろう。県関係国会議員は与野党の枠を超えて働きかけを強めるべきだ。
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