行き場のないやるせなさに胸のふさぐ思いがするが、決して消えることのない光をずっとともしてくれる。
 ベイリー12歳。
ジコチューこの上ない父親に振り回される日々に、出口はなく孤独だけが増幅していく。空高く飛ぶ鳥を眺めながら、今の場所から一歩も進めない日々。
 彼女の背負う困難は誰のせいでもなく大人のせいだ。未来の見えない現実から自分ひとりは飛び立てても、彼女には自分以外にも背負わなければならない大切なものがある。
 彼女の背負う荷の重さに大人の観客である私はうなだれるばかり。勝手な大人の助けなど、はなから当てにしていない彼女をハラハラと見守りながら、ふがいない私はただただ祈っている。
 そんな無力な大人をも見捨てずに、確かな希望への羽ばたきを一緒に感じさせてくれる少女に感謝。
(スターシアターズ・榮慶子)
◇プラザハウスで上映中
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