市職員へのセクハラ問題を巡り、南城市議会(沖縄県)から不信任決議を受けた古謝景春市長は6日午前、議会解散を議長に通知した。市議選は翌7日から数えて40日以内に投開票される決まりで、市選挙管理委員会によると11月9日が有力。

 
 古謝市長は6日午前11時に議長と面談し、議会解散を伝える文書を手交。その後、解散の理由を「ハラスメントを一貫して否定してきたが、議会で市政の混乱を理由に不信任決議が可決されたことは大変不本意。私がこのまま辞職すると否定してきた事案を事実として認めることになると判断し、議会の解散を決断した」と報道陣に語った。
 不信任を受けた市長が辞職するべきではないかとの質問には「辞職しない」と明言。セクハラはしていないのかと問われ「全部やっていない。どこかで分かりますから」と話した。
 報道陣への対応は1分16秒で切り上げ市長室へ戻った。その後、午前11時8分に市長室を出る際に記者から「解散は議会への仕返しか」などと質問されたが答えず、公用車で退庁した。
 古謝市長は10月6日までに議会解散か辞職かの判断を迫られていた。期限内に判断しない場合は失職だった。
 市によると、議会解散の場合、市議選の予算は少なくとも2千万円かかる。解散後の市議選で新たな顔ぶれの市議会で不信任決議案が提案された場合、議員の3分の2以上が出席して過半数が賛成すれば可決され、市長は失職する。


 古謝市長のセクハラ問題を巡っては、市議会の特別委員会が市職員対象に実施したアンケートでキスなどの疑惑が9件浮上。市の第三者委員会は5月、職員へのセクハラとパワハラを認定し、辞職を提言した。9月22日には、古謝市長が市長室で女性職員に「ハグしたさーね」などと認める録音データが報道で明らかになり、全国からも注目が集まっていた。市議会は9月26日、4度目の提案で不信任決議案を可決した。
古謝景春市長の一問一答
(冒頭発言)こんにちは、本日地方自治法第187条第一項の規定に基づき市議会を解散しました。解散した理由につきまして説明します。これまで第三者委員会においてハラスメントについて一貫して否定してきました。それにもかかわらず議会では市政の混乱を理由に不信任決議が可決されたことは大変不本意であり、わたしがこのまま辞職すると、これまで否定してきた事案までも事実として認めることになると判断したことから、辞職をせずに議会を解散する決断をいたしました。
(記者)辞職をするのが筋ではないでしょうか?
(市長)辞職はしません
(記者)なぜ議員が?
(市長)やってないからです
(記者)認めていないことが事実になるとはどういうことですか?
(市長)はい、1つ1つ、ぜんぶやってないです(=聞き取りづらく)
(記者)ぜんぶやってないと?
(市長)それはどこかで分かりますから
(記者)なぜ議員を、なぜ議員を
(市長、無言で市長室へ)

識者「首長の権力乱用」を指摘
 現代政治分析が専門の白鳥浩教授(法政大学大学院)は「二元代表制を取る地方自治の立て付けでは、首長は議会の決定を順守する必要がある。自身の問題で不信任が通ったことを議会のせいにして議会解散というのは筋違いで、首長の権力の乱用と言える」と指摘している。

 
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