9月の「沖縄全島エイサーまつり」で陸上自衛隊第15旅団のエイサー隊の出演を市民団体がやめるよう要請したことなどを受け、自民・無所属会派が決議案の提出を主導した。
決議では、「表現の自由により『自衛隊員である』という理由で社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳が傷つけられることがあってはならない」とし「県議会は、自衛隊及び隊員とその家族に対する差別的な風潮を改め、県民に対して理解と協力を求める」と主張している。
決議案は当初、自民側が「職業差別を許さない」とする表現を盛り込んだが、公明側が沖縄戦の戦争体験に起因する複雑な県民感情に配慮すべきだと削除を自民側に要請。「差別的な風潮を改め」と修正した。
決議案を巡っては、県内外の憲法学者や弁護士ら122人が「『言論封殺』に道を開きかねない。極めて危険な言動」と抗議する声明を県議会各会派などに送付している。
決議(全文)
自衛隊及び隊員とその家族に対する差別的な風潮を改め、県民に理解と協力を求める決議
(全文)
沖縄県民は、戦争の記憶や米軍統治、本土復帰といった歴史を経て、自衛隊という存在に複雑な感情を抱えてきた。その思いは深く理解するものであり、防衛政策への批判や抗議、意見表明は民主主義社会において当然のことであり、表現の自由として尊重されるべきである。しかし、その表現の自由により「自衛隊員である」という理由で社会参加の機会が奪われ、隊員や家族の尊厳が傷つけられることがあってはならない。
過去には、「自衛隊員である」という理由だけで行政サービスの拒否や教育現場からの排除、地域行事や社会的な節目への参加を認めないといった行為があったことも事実であり、今もなお、隊員や家族が心ない言葉の対象となり、活動が妨げられる事例が見られる。何よりも文化や教育の場から排除されることは、地域社会の成就と多様性、共生の精神を損なうものである。
自衛隊員は共に暮らす沖縄県民であり、この島嶼県である沖縄県において、防衛、災害対応、人命救助、緊急搬送や不発弾の処理など、その任務は多岐にわたり、県民の安全と生活を支える大切な存在である。
よって、沖縄県議会は、自衛隊及び隊員とその家族に対する差別的な風潮を改め、県民に対して理解と協力を求める。
上記のとおり決議する。
令和7年10月8日
沖縄県議会