県内で希少動植物の違法な捕獲や輸出の摘発が相次いでいる。
 県警は、国内希少野生動物種のリュウキュウヤマガメ計107匹とホルストガエル1匹、クメトカゲモドキ2匹を県内で捕獲したとして、種の保存法違反の容疑で中国籍の男女4人のグループを逮捕した。

 このうち3人は日本郵便の国際郵便サービス「国際スピード郵便」を使いリュウキュウヤマガメなどを輸出しようとしたとして、沖縄地区税関が関税法違反の疑いでも那覇地検に告発した。
 国の天然記念物でもあるリュウキュウヤマガメは、ワシントン条約で国際取引が規制されている。
 しかし、ペット用などで海外ではインターネットなどで数十万~数百万円で闇取引されており、昨年は成田空港でも摘発された。
 一方、郵便を用いた輸出の摘発は全国で初めてだ。
 税関によると、3人は9月11日から17日にかけて四つの段ボールに分け発送しようとした。中身を「ビスケット」「モデルトイ」と偽ったほか、差出人も偽名だった。
 今回は、沖縄地区税関那覇外郵出張所の職員による輸出検査で発覚した。
 だが、全ての国際郵便物が検査を受けるわけではない。中にはカメの足をテープで固定し動かないようにしたものもあり、手口は巧妙化している。
 過去には発覚を免れ、不正に輸出された可能性もある。水際対策のさらなる強化が求められる。
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 リュウキュウヤマガメは本島北部や渡嘉敷島、久米島の森林地帯に生息する固有種で、国際自然保護連合(IUCN)レッドリストの絶滅危惧種でもある。

 一体どこでどのように107匹も捕獲したのか。密猟の手口についても解明が急がれる。
 グループのうち1人は、国の天然記念物のヤエヤマセマルハコガメ35匹を無許可で所持していたとして、文化財保護法違反の疑いでも逮捕された。
 西表島の住民から「不審なレンタカーがある」などの通報が八重山署にあり、署員が車内を確認したところカメが見つかったという。
 コロナ禍後、外国人による希少種の密猟が目立つ。国籍は中国、韓国、台湾、インドネシア、ベトナムなどさまざまで、観光客に紛れて密猟が行われている恐れがある。
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 希少生物の保全対策は急務だ。
 密猟者を摘発する県や自治体、環境省などによる合同パトロールは、人員・回数を増やすなど監視の目をさらに広げる必要があろう。
 不正捕獲は希少種を消滅の危険にさらすだけでなく、持ち込まれた先の生態系に影響を及ぼす可能性もある。
 摘発された外国人の中には「捕ってはいけないと知らなかった」という人もいる。希少生物の取り扱いについて、外交ルートなどを通じて各国へ協力も呼びかけるべきだ。
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