不登校の増加に歯止めがかからない。子どもたちに何が起きているのか。
実態を見極める必要がある。
 文部科学省の2024年度調査で、小中学校で年間30日以上欠席した不登校の児童生徒が、県内は前年度より419人多い7432人となり、過去最多を更新した。高校は299人増の1526人で、中途退学者は1068人だった。
 小中高校の全校種で増えており、合わせると約9千人に上る。
 千人当たりの不登校者数は、小学校は35・4人で全国で最も多い。中学校は77・5人、高校は35・7人でいずれも全国平均を上回った。
 40人学級で計算すると、1クラスに小学校は1人以上、中学校は3人以上いることになる。
 不登校の増加は全国的な傾向だが、県内はより深刻な状況である。
 県教育庁によると、不登校児童生徒からは、無気力や不安、生活リズムの不調に関する相談が多かった。
 ただ、不登校の理由や背景を子どもに尋ねる項目は調査になく、実態をつかみきれているわけではない。
 学習の遅れや発達特性など本人に関すること、友人など対人関係、貧困やヤングケアラーなど家庭に起因することなど、さまざまなケースが考えられる。理由によって支援の在り方は変わってくるはずだ。

 まずは、なぜ不登校になったのか、きちんとした実態調査をする必要がある。
■    ■
 県教育庁は、コロナ禍以降、「無理に学校に行かなくてもいい」といった登校に対する保護者や児童生徒の意識の変化も、不登校増加の要因の一つにあると分析する。かつてのように「学校が絶対」という価値観は変化しており、学びの場は多様であっていい。
 不登校児童生徒の受け皿としてフリースクールが広がっている。文科省も、民間施設やNPOと連携し、協力・補完し合うことは意義が大きいとの考えを示す。
 ただ、学校外の民間施設に通う児童生徒は成績の評価が低くなりやすかったり、公立学校に比べて経済的負担が大きかったりする課題もある。
 フリースクールに明確な定義はなく、授業や活動内容もよく分かっていない。県は来年度にも実態調査を実施する方針だ。子どもたちの学びを保障するため予算措置を含めた対応が求められる。
■    ■
 全国では、不登校のおよそ4割がスクールカウンセラーなどの専門的支援を受けていないとされる。
 公教育からこぼれ落ちたまま、何の支援にもつながっていない児童生徒が県内にも多くいるはずだ。広く現状を調べなければならない。

 文科省は、次期学習指導要領への改定で、不登校の児童生徒一人一人に合わせた学習指導計画作成が可能になる仕組みを新たに設けることを検討している。
 「誰一人取り残さない」学びの場を保障するためには、オーダーメードの支援を実現する環境の整備が必要だ。
編集部おすすめ